新型コロナで賃料を払えない 新型コロナ法律相談 その24

労災、解雇問題

1 新型コロナと賃料不払

新型コロナウイルスの蔓延や緊急事態宣言発出などのため、飲食店を中心に休業などが広がり、賃料などの固定経費の支払に苦しんでいる事業者が多いと思います。

個人についても、収入が減り、アパートの家賃などの支払に困っている方が多いと思います。

個人については、住居確保給付金による支援を受けられる場合もありますが、それでも収入基準等があり、支援を受けられない方も多いと思います。

そこで、賃料の支払ができなかった場合にどうなるのか、以下解説します。

2 賃料不払と賃貸借契約解除

賃貸借契約において賃料支払いは基本的な義務ですが、それを怠ったら直ちに契約の解除が認められるわけではなく、賃料不払いが信頼関係を破壊するようなものかどうかが問われます。

例えば、大阪高裁平成30年6月20日判決は、賃料不払いと信頼関係の破壊について以下のとおり述べています。

「控訴人は,平成19年11月27日から平成28年4月18日までの間において,わずかの時期を除き,長期間にわたり賃料等の約1,2か月分に相当する金額を滞納しており,控訴人は,被控訴人から毎月督促状により滞納額を支払うよう督促を受けるほか,被控訴人の従業員からも口頭で賃料等を滞納しないよう求められたにもかかわらず,賃料等の滞納を改めなかったものである。この点につき,控訴人代表者は,原審の代表者尋問において,少しぐらいの賃料等の滞納はそれほど大ごとではなく,給料などの他に支払わなければならないものを先に支払っていた,賃料等の優先順位はその後になっていたと供述しており(代表者尋問調書30頁),これによれば,控訴人は,支払期日までに賃料等を支払うという本件賃貸借契約に基づく賃借人としての基本的な義務に違反しても許されるという自己中心的な考えから賃料等の滞納を続けていたということができる。そうすると,控訴人が被控訴人に対して本件賃貸借契約の締結時に敷金180万円を交付したこと(甲1,弁論の全趣旨),控訴人が前提事実(4)の催告期限の15日後に被控訴人から催告を受けた未払賃料等の残額相当額を被控訴人名義の預金口座に送金したこと,控訴人が被控訴人に対して別表一覧表の番号2ないし23のとおり,おおむね1か月に1回,21万円を送金したことを考慮しても,賃料の不払について信頼関係の破壊と認められない特段の事情があったということはできない。したがって,被控訴人の控訴人に対する本件賃貸借契約を解除する旨の意思表示(前提事実(4)イ)は有効であり,本件賃貸借契約は,平成28年4月4日の経過により終了したということができる。」

ここでは、賃料の不払いが長期間であること、賃料より他の債権を優先させていたことが重視されています。

よって、新型コロナウイルスの蔓延や緊急事態宣言のために売り上げや給料が減少し、一時的に賃料を支払うことができなくなったとしても、ただちに賃貸借契約の解除が有効となるものではないと考えられます。

なお、法務省民事局も、「新型コロナウイルスの影響により3か月程度の賃料不払が生じても、不払の前後の状況等を踏まえ、信頼関係は破壊されておらず、契約解除(立ち退き請求)が認められないケースも多いと考えられます」としているところです。

3 賃料の減額

いずれにしても、永久に賃料を払わないというわけにはいきませんが、現状の賃料額の支払は困難という場合もあるでしょう。

そのような場合、調停や訴訟により賃料減額を求めることも考えられます。

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