執筆 新潟県弁護士会 弁護士齋藤裕(2019年度新潟県弁護士会会長、2023年度日弁連副会長)
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1 交通事故における後遺障害等級の重要性
交通事故において後遺障害等級が認定されるか、されないとして何級に認定されるかは極めて重要な問題です。
一番軽い14級の後遺障害であっても、110万円の慰謝料、労働能力が5パーセント失われたことを前提とする逸失利益を請求できる可能性が出てきます。
これが1級となると、慰謝料2800万円、労働能力100パーセント喪失前提で逸失利益の請求ができる可能性が出てくることになります。
そこで、その後遺障害等級の認定手続きについて解説します。
2 交通事故における後遺障害認定手続き
被害者請求(交通事故被害者が直接自賠責の請求を行う場合)の流れは以下のとおりです。
ⅰ 被害者が自賠責の保険会社から書式を取り寄せ、自賠責保険会社に被害者請求をします。
ⅱ 自賠責保険会社が損保料率機構に対して損害調査依頼をします。
ⅲ 損保料率機構による障害等級の認定がなされます。
ⅳ 自賠責保険会社から認定等級の通知と支払いがなされます。
被害者がもっぱら加害者側の任意保険会社と交渉し、任意保険会社が自賠責の手続きを行う場合、つまり一括請求の場合の手続きは以下のとおりです。
ⅰ 任意保険会社から損保料率機構に対して事前認定申請をします(被害者に損害賠償金を支払った後で任意保険会社が自賠責保険からの回収ができるかどうか確認するため)。
ⅱ 後遺障害等級認定結果の回答が任意保険会社に来ます。
ⅲ ⅱの結果を踏まえ、任意保険会社は被害者と交渉をします。
結論が見えているようなケースでは一括請求で問題ないと思われますが、結論がどうなるか微妙なケースでは被害者請求の場合の方が任意保険会社を排除できるので望ましいです。
3 後遺障害等級認定・不認定についての異議申し立て
被害者請求の場合でも、一括払いの場合でも、後遺障害等級に納得のいかない被害者は、異議申し立てを行うことになります。
被害者請求の場合には自賠責保険会社に、一括払いの場合は任意保険会社に異議申立書、それを裏付ける資料を提出することになります。
異議申し立ての結果に不服がある場合、自賠責保険・共済紛争処理機構に紛争処理手続きの申請をする(弁護士、医師などで構成される紛争処理委員会が検討をします。これは異議申し立て前にしてもよいものです)、損害賠償訴訟を起こしそこで後遺障害等級を主張していくなどの方法があります。
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