有責配偶者からの離婚請求を別居期間8年で認めた裁判例

離婚問題

1 有責配偶者からの離婚請求

不貞や暴力をした配偶者からの離婚請求については、通常の場合よりかなりハードルが高く、おおむね10年くらい別居期間がないと認められません。

この期間は、同居期間、有責性の程度、未成熟子の有無、経済的配慮の有無・程度などによって違ってきます。

最近の事例として、東京家裁令和2年2月19日判決が、有責配偶者からの離婚請求を別居8年で認めましたので、参考のためご紹介します。

2 東京家裁判決

東京家裁は、以下のとおり述べ、有責配偶者からの離婚請求を認めました。

「原告の離婚請求の信義則上の評価を検討するに,夫婦に未成熟子はおらず,婚姻後の同居期間が4年余りであるのに対し別居期間は8年で,現在51歳という双方の年齢や同居期間との対比においても,別居は長期に及んでいる。」
「また,夫婦不仲の原因は原告の不貞であるものの,原告が不貞相手との交際を現在も継続しているなど,本件離婚請求が認められた場合に被告が精神的・社会的に極めて苛酷な状態に置かれるというべき事情は見当たらない。経済的に見ても,原告は,平成25年4月頃以降は調停で定まった月額13万円の婚姻費用を現在まで支払い続けており,被告も婚姻前の仕事に再び就いているから,被告が離婚後に経済的に苛酷な状況に陥るとはいえない。さらに,原告は離婚給付として450万円の金員の提供を申し出ており(弁論の全趣旨),この金額は後記の財産分与により原告が支払うべき金額を大きく上回っており,相応の慰謝料給付を申し出ているも
のと評価することができる。」
「以上の検討によれば,原告の離婚請求を認容することは,著しく社会正義に反するとまではいえず,原告が婚姻破綻に関する有責配偶者であってもこれを棄却することはできない。」

同家裁は、

・同居期間に比べ別居期間が長い

・未成熟子がいない

・不貞を現在まで継続してはいない

・高額な婚姻を払い続けている

・相手方配偶者が結婚前の職に戻っている

・離婚給付450万円の支払申し出がある

という要素を前提に、8年での離婚を認めています。

これらの事情は有責配偶者からの離婚請求が争われる多くの裁判例において考慮されている事情であり、有責配偶者からの離婚請求が問題となる際には適切に立証することが重要です。

3 新潟で離婚のお悩みは弁護士齋藤裕へ

離婚全般についての記事

離婚時慰謝料

財産分与

不倫

子どもの連れ去り・引き渡し

養育費

面会交流

婚姻費用

親権

もご参照ください。

離婚でお悩みの方は弁護士齋藤裕にご相談ください。

まずはお電話(025-211-4854)か、メールでご連絡ください。

弁護士費用はこちらの記事をご参照ください。
さいとうゆたか法律事務所トップはこちらです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です