百日裁判について(河井案里氏秘書の公選法違反)

さいとうゆたか弁護士

1 河井案里氏秘書の公選法違反被告事件について

参議院議員である河井案里氏の秘書についての第2回公判が19日行われ、秘書は違法報酬を払ったのは事実だと述べたそうです。

この裁判は百日裁判という特殊な手続きで行われます。

以下、百日裁判について解説します。

2 百日裁判について

百日裁判については、公職選挙法が定めています。

まず、公職選挙法213条は、当選の効力を争う訴訟等について、事件受理日から100日以内に判決を言い渡すよう努めなければならない、裁判所はこの訴訟を他の訴訟に優先させなければならないとしています。

また、公職選挙法253条の2は、公職選挙法違反の一定の犯罪について、事件受理の日から100日以内に判決をするよう努めなくてはならないとしています。そのために、第1回公判の期日は事件を受理した日から三十日以内とすること(1審)、公判期日の一括指定、1週間以内に1回以上の期日指定、他の事件に優先しての処理が定められています。

このような規定があるのは、公職選挙法違反事件については、当選無効の効果が結び付けられているからです。

公職選挙法第二百五十一条は、「当選人がその選挙に関しこの章に掲げる罪(第二百三十五条の六、第二百三十六条の二、第二百四十五条、第二百四十六条第二号から第九号まで、第二百四十八条、第二百四十九条の二第三項から第五項まで及び第七項、第二百四十九条の三、第二百四十九条の四、第二百四十九条の五第一項及び第三項、第二百五十二条の二、第二百五十二条の三並びに第二百五十三条の罪を除く。)を犯し刑に処せられたときは、その当選人の当選は、無効とする。」と定めています。

さらに、選挙運動を総括主宰した者、出納責任者、組織的選挙運動管理者(当該選挙運動の計画の立案若しくは調整又は当該選挙運動に従事する者の指揮若しくは監督その他当該選挙運動の管理を行う者)などについては連座制が適用され、これらの者が刑に処されたときも、当選の効力が失われることがあります(251条の2、251条の3)。

つまり、選挙で当選した人が失職することになります。

これらの当選者の失職につながる裁判が、当選者の任期切れ以降まで続くようでは意味をなさないため、百日裁判という極めて迅速に行われる裁判の制度が設けられたのです。

河井案里氏の秘書をめぐる裁判では、ほう助にとどまるかどうかが争点となるようです。

このように争いがある事件について裁判を短期間で行うのは簡単ではありませんが、関係者の努力で適正迅速な裁判が実現されることを期待します。

 
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