
1 朝日新聞が賭け麻雀で職員を1ケ月、産経新聞が4週間の停職処分
報道によると、朝日新聞が、賭け麻雀の件で、元記者の職員を1ケ月の停職処分としたということです。
産経新聞は4週間とのことです。
そこで以下、停職処分について解説します。
2 停職処分とは?
停職処分とは、労働契約を存続させつつ、労働者の就労を一定期間禁止することを言います。
通常は賃金は支給されず、勤続年数にも算定されないことが多いとされます(ただし、不正行為の再発防止等の観点等から当該従業員を就労させないことについて実質的理由があるといえる場合を除き、賃金支払いは許されないという裁判例もあります)。
法律上、停職処分の上限は定められていません。
ですから、会社の就業規則の定めにより、停職処分の期間が定まることになります。
ただし、あまりにも重すぎる停職処分については、その効力が否定されることもありえます。
例えば、バスガイドが正当な理由なく欠勤し、バスが分断運行になったという事案についての盛岡地裁一関支部平成8年4月17日判決は以下のとおり述べ、6ケ月の懲戒休職は長すぎ、3ケ月の限度で有効としました。
「前示のとおり本件懲戒処分一の六か月間の休職は懲戒休職では最高限度であり、長期の給与の不支給を伴う重いものである一方、本件休暇等のうち一〇・一八休暇及び一二・六休暇は処分の根拠とすることができないものであること、一〇・二五休暇及び一一・一五休暇については、原告の不就業により不便、不経済を生じ、関係者に迷惑をかけるなど事業の正常な運営は妨げられたが、それ以上の実害は生じなかったこと、原告に対し注意はなされたものの、原告においてはこのような重い処分が課されることは予想外であった(原告本人)ことなどに鑑みると、本件懲戒処分は、その理由に比し、程度において重すぎるといわざるを得ず、右根拠事実及び前示一切の事情によれば、休職三か月間の限度で有効であり、これをこえる部分は懲戒権の濫用であって効力がないと認めるのが相当である。」
賭け麻雀の件は、犯罪になりうるものであること、緊急事態宣言下であったこと、社会的反響がかなり大きかったことなどからすると長期の停職処分もありえそうです。
しかし、上記裁判例の事例とは異なり、会社の業務に直接の悪影響があったわけではないこと、彼だけの問題かどうかも分からないことを考えると、1ケ月、4週間の停職処分というのはありうる範囲内の処分かと思います。
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