
1 自筆証書遺言の効力
自筆証書遺言は、遺言者が民法968条の要件に従って作成する遺言です。
民法968条1項は、「自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。」と規定しています。
これらの要件を満たせば、遺言書の用紙に限定はなく、ハガキに記載されたものでも有効となるはずです。
2 ハガキの記載された自筆証書遺言
東京高裁令和1年7月11日判決は、ハガキに記載された自筆証書遺言の効力について判断をし、無効としました。
無効とした理由は、ハガキに記載されたことだけではなく、自筆証書遺言の表現でした。
裁判所は、まず、「遺言も意思表示を要素とする法律行為であり、かつ、相手方のない単独行為である以上、これを有効と認めるためには、民法所定の要件を具備していることはもとより、財産処分等の法律行為を行う旨の遺言者の確定的、最終的な意思が遺言書上に表示されていることが必要と解すべきである」とします。
遺言書には、確定的、最終的な意思が記載されないと遺言書としての効力はないというのです。
その上で、「マンションはYにやりたいと思っている」という遺言書の記載について、「その表現ぶりのほか、控訴人に対する私信中の記載であることに照らせば、本件マンションを控訴人に取得させたいという希望ないし意図の表明を超えるものではなく、少なくとも本件マンションを控訴人に遺贈するとの確定的、最終的な意思の表示であると断定するには合理的な疑いが残るところである」
裁判所は以上の判断を踏まえ、最終的な意思がハガキに記載されておらず、自筆証書遺言としては無効としました。
確かに、ハガキに記載されていること、文言からして、最終的確定的意思が記載されていないという判断はありえないとは思われず、あながち不当な判決ともいえないと考えられます。
確定的意思表示がないという理由での無効は公正証書遺言ではまずありえません。
遺言書をめぐるトラブルをできるだけ防止するためには弁護士に相談した上で公正証書遺言を作成すべきでしょう。
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