オキシトシンの投与中止をせず新生児に障害が残り、注意義務違反があるとされた事例(医療過誤)

執筆 新潟県弁護士会 弁護士齋藤裕(2019年度新潟県弁護士会会長、2023年度日弁連副会長)

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1 オキシトシンとは?

一般名オキシトシンは、商品名としてはアトニンと呼ばれ、子宮の筋肉を収縮させ、出血を止めるなどのために使われます。
しかし、メーカーである、あすか製薬は、同薬について、以下の場合には投与すべきではないとしています。

・本罪の成分又はオキシトシン類似化合物に対し過敏症の既往歴のある患者

・プロスタグランジン製剤(PGF2α,PGE2)を投与中の患者

・プラステロン硫酸(レボスパ)を投与中又は投与後で十分な時間が経過していない患者

・吸湿性頸管拡張材(ラミナリア等)を挿入中の患者又はメトロイリンテル挿入後1時間以上経過していない患者

・ジノプロストン(PGE2)製剤の投与終了後1時間以上経過していない患者

・骨盤狭窄,児頭骨盤不均衡,横位のある患者

・前置胎盤の患者

・常位胎盤早期剥離の患者(胎児生存時)

・重度胎児機能不全のある患者

・過強陣痛の患者

・切迫子宮破裂の患者

このように重度胎児機能不全のある患者にアトニンを投与した場合、胎児の症状を悪化させる可能性があります。

2 オキシトシンの投与を中止しないことで出生した子どもに脳性麻痺が生じた事例

しかし、上記のような注意にも関わらず、現実には、重度胎児仮死の場合でもオキシトシンの投与を止めず、出生した子どもに重度障害が残るようなケースもあります。

例えば、岐阜地方裁判所平成18年9月27日判決は、重度胎児仮死になった以降もオキシトシンの投与をやめず、出生した子どもに脳性まひが残ったという事案について、以下のとおり判断しています。

「被告には,胎児仮死と判断した後,胎児仮死治療として酸素投与及び体位変換を適切に行わず,陣痛促進剤の点滴を中止して陣痛の抑制をしなかった過失がある。」

そして、同判決は、損害の7割について医療機関側に賠償を命じています。

このように、オキシトシンは状況に応じた投与が重要であり、場合によっては重大事故、損害賠償の問題につながるので注意が必要です。

3 新潟で医療過誤のお悩みは弁護士齋藤裕へ

産科医療補償制度

低酸素性虚血性脳症と医療過誤

低酸素性虚血性脳症と損害額

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