
1 鬼滅の刃のアニメ制作会社 ユーフォーテーブル(ufotable)を脱税容疑で告発との報道
報道によると、鬼滅の刃制作会社である、ユーフォーテーブル(ufotable)について、東京国税局が、1・4億円の脱税をしたとして法人税法や消費税法違反等の疑いで東京地検に告発したということです。
同社のサイトでは、2014年9月からあ2015年8月、2016年9月から2017年8月、2017年9月から2018年8月の3期について修正申告を行い、全額納税したこと、ユーフォーテーブルと代表者が東京国税局から告発を受けたとの記載があります。
報道では、売上金の一部を抜いて(キャラ店舗帳簿改ざん)売上高を減額したとされていますが、その真否は明らかではありません。
2 国税徴収法と国税当局による告発義務
国税通則法は、国税に関する犯則事件に関する手続きについて定めています。
同法155条は、国税庁の職員において、所得税に関する犯則があると考えるときは検察官に告発しなければならないとしています。
消費税については、同法156条が証拠隠滅のおそれがある場合等について、同法157条2項が情状から懲役刑に処すべきものであるとき等に告発義務が認められています。
今回の告発はこれらの規定等に基づく可能性があります。
3 裁判の見通し
今後、告発を受け、検察官の起訴により刑事裁判となります。
例えば、東京地裁令和1年9月5日判決は、通信販売会社が架空請求書などを利用して法人税1億4000万余、消費税4000万余を脱税したという事案(修正申告の上、延滞税も含め納付済)において、会社に罰金4600万円、代表者に懲役2年・執行猶予4年の刑を言い渡しています。
同事案では以下の事情も考慮されています。
・ほ脱率が約11・83パーセントと格別高いわけではない
・修正申告の上、本税、延滞税を納付し、重加算税も予納済
・新たな代表者や税理士のもとで経営体制の改善をはかっている
・脱税に関与した代表者は退任している
・前科がない
仮に、ユーフォーテーブルが売上金の一部を抜いて1・4億円の脱税をしていたとすると、手口の悪質性の程度や脱税額等からして、上記東京地裁判決と同レベルの刑が想定されると思われます。
ただし、東京地裁判決で指摘されたような事情の他、報道により社会的制裁を受けたこと等により刑が変化することは当然ありうるでしょう。
適正手続きに沿った適正な処分が期待されるところです。
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