河井克行氏 国会閉会後立件との報道 

さいとうゆたか弁護士

1 河井克行氏が国会閉会後立件との報道

前法相の河井克行氏について、国会閉会後、買収容疑で立件されるとの報道がなされています。
なぜ国会閉会後なのかというのは国会議員の不逮捕特権があるからと思われますが、以下、不逮捕特権について解説します。

2 国会議員の不逮捕特権

憲法は、国会について、「第四十一条 国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。」と定めています。
法律を作ることができるのは国会です。
では、なぜ国会だけが法律を作ることができるかというと、「第四十三条 両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。」からです。
つまり、国民主権や民主主義の現れとして、選挙された国会議員で構成される国会のみが法律を作ることができます。
国会議員は国民主権や民主主義の基盤の上で、法律制定への関与等重要な職責を果たすことになります。
そのため、警察や検察という行政権力(検察は司法ではありません)の妨害により重要な国会議員の職責が果たされない事態を防止するため、不逮捕特権が定められています。

憲法第五十条は、「両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない。」と定めています。
ここでいう法律の定める場合とは、現行犯逮捕や院の許諾がある場合であり、かなり限定されています。
ここで逮捕というのは、公権力による身柄拘束一般を指します。
ですから、逮捕後の10日間の勾留も原則として会期中は許されません。

不逮捕特権はあくまでも身柄拘束を禁じるものです。
任意捜査や起訴は禁止されません。
ですから、会期中であっても、任意捜査で起訴までいくのであれば、政治的配慮を別として、捜査・起訴は不可能ではありません。
それでもなお、検察が閉会まで待っていたというのであれば、逮捕・勾留をし、きっちり取り調べを行うことを想定している可能性は十分あります。

3 最後に

実際に買収が行われたのであれば公正な選挙を大きく揺るがす事態ですので、真相解明は必要です。
ただし、これまで検察捜査事件において違法な取り調べもなされてきたことを踏まえ、適正手続きには十分配慮してもらいたいと思います。

河井克行氏について想定される処分についての記事

河井案里氏秘書の百日裁判についての記事

もご参照ください。

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