青葉容疑者の勾留理由開示手続き

さいとうゆたか弁護士

1 青葉容疑者の勾留理由開示手続き

報道によると、6月9日に京都地裁で勾留理由開示手続きが行われるということです。

勾留理由開示手続きは多くの人にとって、あまりなじみのない制度かと思います。

以下、簡単に解説します。

2 勾留理由開示手続きと憲法

憲法34条は、「何人も、正当な理由がなければ、拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。」としています。

同規定は、不法拘禁からの解放のための英米法のヘイビアス・コーパスの制度を背景にしたものとされています。

いずれにしても、公開法廷で身柄拘禁の理由について開示されることは憲法上の要請です。

3 勾留理由開示制度の内容

憲法34条を受け、刑事訴訟法82条1項は、「勾留されている被告人は、裁判所に勾留の理由の開示を請求することができる」として勾留理由開示制度を定めます。

勾留理由開示は、公開の法廷で行わなければなりません(刑事訴訟法83条1項

ただし、被告人が病気等のため出頭できず、被告人に異議がない場合には被告人は出頭しなくてもよいとさ

れています(刑事訴訟法83条2、3項)。ですから、青葉容疑者については勾留理由開示手続き期日に出頭するかどうかは何ともわからないということになります。

4 開示される勾留理由

勾留理由開示の法廷で裁判長は勾留の理由を告げなければなりません。検察官、被告人、弁護人は勾留について意見を述べることができます(刑事訴訟法84条)。

ここでいう理由については、現実には、証拠の内容まで告げないことが多く、ひどい裁判官になると「検察官、説明されますか?」と検察官に説明を丸投げすることさえあります。

同制度は、そもそも身柄拘束からの解放のための制度ですから、通常は勾留理由開示手続きで開示された勾留理由をもとに後日あるいは同時に勾留取り消しの請求がなされるのが通常です。

そうであれば、開示される勾留理由は概括的なものであるとしても、どのような内容の証拠があるかを説明するものでなければならないはずであり、現行の実務は憲法や刑事訴訟法の趣旨にもとるものだと言えます。

青葉容疑者の勾留理由開示手続きは、社会の注目を浴びているものですし、証拠内容に踏み込んだ開示をしても罪証隠滅などの恐れはおよそ想定しがたいものです。

裁判所には憲法や刑事訴訟法の精神に沿った丁寧な開示を期待します。

 

青葉容疑者の責任能力等についての記事

もご参照ください。

 

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