親権と母性優先

1 親権者は母親が有利?

親権者は母親が有利、母性優先の原則があると言われることがあります。

確かに親権者が母親とされる事例は多いです。

しかし、それらの事例を見ても、母親であるから親権者とされているというよりは、主な監護者であり、別居後も監護を継続しているという理由で親権者とされている例が多いようであり、母性優先原則はそれほど広く適用されているものではないと思われます。

以下、裁判例における状況を見てみます。

2 母性優先と裁判例

東京地裁平成17年5月19日判決は、以下のとおり述べ、母親が外国人という特殊な事件ではありますが、5歳児の親権者を父としました。

判決時まで1年半子どもが父のもとで安定した生活を送っていることが重視されています。

「Aは,原告と被告との別居後1年半近くの間,被告の実家で,主に被告の母により監護養育されている(同居している被告の弟も,監護に協力的である。)ところ,行き届いた配慮の下,十分な面倒を見て貰って非常に安定した生活を送っており,母親の不在にも,特に精神的に不安定になる様子もなく,心身ともに健全に成長していること,被告も,週末ごとに必ず実家に戻り,東京にいる間には頻繁に電話をする等して,父親としてAに愛情深く接しており,父子関係は極めて良好であることが認められる。」

東京高裁平成24年10月5日決定も、母親のもとで養育されるのが自然な年齢であるとしつつ、父方で適切に養育されている4歳児について父親を監護者として指定すべきとの判断を示しました。

他方、東京地裁平成16年3月15日判決は、生後3か月以降父親と子どもが面会していないという事情もあるケースですが、子どもが2から3歳の場合において、子どもが幼少であることも理由として母親を親権者としました。

結局、母性優先原則自体は存在し、乳児においては強いものと考えられますが、それが絶対的な基準ということではなく、特に4歳、5歳くらいであればそれまでの監護実績や現状がそれなりに重視されると言えると思います。

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