巨人原辰徳監督の賭けゴルフ報道 賭けゴルフと賭博罪

さいとうゆたか弁護士

1 巨人原辰徳監督が賭けゴルフとの報道

巨人の原辰徳監督が賭けゴルフをしていたと報道されています。

巨人軍側は事実無根と主張し抗議書も提出しており、報道が真実ではない可能性は十分あります。

しかし、賭けゴルフが行われているという話は原監督以外ではよく聞くところです。

そこで以下、一般論として賭けゴルフが賭博罪に該当するか検討しました。

2 賭博罪などの構成要件と賭けゴルフ

刑法は、以下のとおり、賭博罪、常習賭博罪の構成要件を定めています。

第百八十五条  博をした者は、五十万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物をけたにとどまるときは、この限りでない。
(常習賭博及び賭博場開張等図利)
第百八十六条 常習として賭博をした者は、三年以下の懲役に処する。

ここで賭博とは、勝敗が偶然の事情に関し財物を賭けることを言います。

判例上、当事者の技能が勝敗の決定に相当影響を与える場合でも(将棋、囲碁、麻雀など)、偶然性が残されている限り、偶然の事情があるとされます。

例えば、賭け将棋に関する大審院昭和12年9月21日判決は、将棋は、将棋の法則を理解した上で特別の思索と錬磨を要し、また臨機応変に対応する才能を発揮するものであり、偶然の事情でないものが勝負に作用するとします。

その上で、「人の思索は常に同一の状態に動作するものに非ず。身体その他外界の影響を受け必ずしも機械的に動作せざる場合多く之がために棋客も敵手に不覚の敗を招くことあり」として、賭博罪の成立を認めています。

同判決は、両者の技量がかけ離れている場合についても、先手落駒等でハンデをつけるのが常識であり、やはり賭け将棋は賭博に当たるとしています。

身体の影響を受けるという点に関しては、体調を整えるのも実力のうちですし、それをも偶然の事情と言ってしまうのには疑問もありますが、一応先例的価値のある判例とは言えます。

この大審院判決の理屈は賭けゴルフにも通底すると思います。

賭けゴルフについては、タイガー・ウッズと初めてコースに出る人とでは、技量が違い過ぎますし、いくら偶然に事情が左右すると言っても、結果は必然と言えると思われます。

しかし、それほど技量に差がない者同士で競い合う場合、あるいは技量に差があってもハンデなどにより結果が必然とまでは言えないような場合においては、偶然性が作用するものとして賭けゴルフは賭博になりうると考えます。

賭け麻雀と産経新聞記者・朝日新聞社員の懲戒処分

賭け麻雀と賭博罪

もご参照ください。

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