
執筆 新潟県弁護士会 弁護士齋藤裕(2019年度度新潟県弁護士会会長、2023年度日弁連副会長)

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目次
1 交通事故時の代車の必要性
1 交通事故時の代車の必要性
交通事故で自動車を修理しなければならない場合、買い替えをしなければならない場合、代車を実際に使用していたのであれば、修理や買い替えに通常必要な期間について代車使用料の賠償請求が認められます。
営業車両、通勤・通学に使用される自動車と代車の必要性
営業用車両、通勤・通学に使用される自動車については原則として代車の必要性が認められています。
営業車両、通勤・通学に使用される自動車についても、公共交通機関による代替が可能である場合、代車費用が認められないとされます。
公共交通機関による代替が一応は可能であっても、乗り換えが煩雑、かなり時間がかかる、幼児・高齢者の送迎に使用していた、大量の荷物を運ぶ必要がある等の事情があれば代車費用が認められる可能性はあるでしょう。
レジャー車と代車の必要性
レジャー車については代車使用料の損害賠償が認められないことがあります。
しかし、自動車でレジャーを楽しむのも保護されるべき法的利益と考えられ、レジャー車であるからといって代車費用が認められないとすべきとは思われません。
実際、レジャー車であっても代車費用が認められた裁判例も存在します。
代替車両の存在
複数自動車を所有しており、修理等していない自動車を使えばよい状況にある人については代車使用料の賠償請求は認められません。
2 交通事故で代車使用料が認められる期間
代車使用料が認められる期間は修理については1から2週間が通常ですが(参照:代車使用が相当な期間を2週間とした判決)、部品取り寄せなどのため修理に長期間を要する場合にはその必要な期間も含めて代車費用の賠償が認められます。
例えば、大阪地裁平成30年7月26日判決は、「修理期間31日はやや長期であるともいえるが,部品取り寄せにかかる期間や作業工程,作業の確実性等を考慮すれば,この程度の期間を要することもやむを得ないといえる。」として、部品取り寄せの期間等も踏まえて31日間の代車使用料の賠償を認めました。
3 交通事故時の代車のグレード
代車のグレードとしては、修理等に出した自動車と同レベルの代車費用までは認められないので注意が必要です。
なお、大阪地裁平成30年7月26日判決は、以下のとおり、アウトドアに使うという自動車の使途、任意保険の担当者が代車代金について何も言っていなかったことを踏まえ、日額1万8360円という比較的高額の代車代を認めています。ですから、高額な代車使用料の賠償を求めるためには、単にいくら代車代でかかったというだけではなく、その代車である必然性を説明することが重要です。
「Aは,原告車を通勤に使用していたというのであり,代車使用の必要性がないとはいえない。プライベートにおける使用方法も考慮すれば,本件代車の車種を選択したことも不当とまではいえない。」
「代車の日額は1万8360円であり,やや高額であることは否定できないが,本件代車の車種からすれば,その程度の日額を要することもあり得ることである。加えて,Bは,Aに対して本件代車を貸し出した後に,被告任意保険担当者に日額等を報告しているところ,その際に,被告任意保険担当者から代車を変更してほしいなどの申入れはなかったことも考慮すれば,本件については,日額1万8360円は相当な金額であるというべきである。」
4 代車を使用していない場合
東京地裁令和3年9月8日判決は、「原告は,原告車の証拠を保全するためとして,原告車の修理を未だ着手しておらず,概算見積書では修理の際に1日当たり4300円の代車を3日間使用する見込みであることが認められる。しかしながら,代車を実際に使用した事実がないから,概算見積書で見積もられた代車費用は本件事故と相当因果関係を有する損害と認められない」として、代車を使用していない場合に代車使用料は賠償の対象とならないとしています。
当事件で、原告は、業務上、「自動車の使用が不可欠であり,修理期間中に代車を使用する蓋然性が高いから,現実の使用や代車料の支出がなくとも代車使用料の請求が認めるべきである」との主張をしていました。しかし、裁判所は、「明渡し執行の補助等の執行補助の業務がどの程度あるかが不明である上,修理期間も見込みにとどまるのであって,業務に支障がない時期に修理ができる可能性も否定できないことからすれば,現実の使用や支出のない将来の代車費用については認めることができず,原告の主張は採用できない。」としているところです。
以上のとおり、実際に代車を使用等していない場合には代車使用料の賠償が認められない可能性があるので注意が必要です。
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