高次脳機能障害と個室使用料・差額ベッド代の賠償(交通事故)

さいとうゆたか弁護士

1 交通事故と個室使用料・差額ベッド代の賠償

交通事故で入院した場合、個室に入院することがあります。

このような場合、医師の指示であるとか、病態からして個室に入院することが必要であると認められる場合には個室代も賠償の対象となります(なお、健康保険を利用する場合、病院側に空き室がないなどの理由で個室を利用する場合には個室代自体が発生しないことがあります)。

高次脳機能障害の被害者については、その病態から個室代が賠償の対象となることがあります。

 

2 高次脳機能障害と個室使用料・差額ベッド代の賠償

例えば、京都地裁平成27年10月26日判決は、以下のとおり述べて、脱抑制のある高次脳機能障害被害者について、

「原告X1は,大原病院入院時,病床への適応困難との主治医の判断により個室に収容されたこと,原告X1の主治医は,平成24年5月29日,保険会社からの個室使用に関する質問に対し,医学的に個室管理の必要がないと判断した場合には個室から出て行ってもらう旨回答したことが認められる。」
「しかし,一件記録を精査しても,平成24年5月29日以降,原告X1が医師から個室から出るよう指示を受けた等の事情は認められないことに加えて,証拠(甲14,16,20,乙4・103頁)及び弁論の全趣旨によれば,入院中,原告X1には高次脳機能障害を原因とする脱抑制の症状があり,退院直前まで対人トラブルが発生していたことが認められることに照らすと,入院中,原告X1を個室に収容する必要があったというべきであり,個室使用料は,本件事故との相当因果関係のある損害というべきである。」

また、名古屋地裁平成26年4月22日判決は、以下のとおり述べて、他の患者とのトラブルを防止するために将来の個室代の賠償を認めています。

「月額15万円の室料差額について本件事故との相当因果関係が認められない旨主張するが,上記2(1)イ(エ)認定の事実に照らせば,本件事故の後遺障害である高次脳機能障害による他の患者とのトラブルを防止するため,個室を利用することはやむを得ず,本件事故との相当因果関係が認められる。」

 

以上より、高次脳機能障害の被害者について、他患者とのトラブル防止などのために必要がある場合において個室使用料が賠償の対象となることがあることになります。

 

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