高次脳機能障害と将来介護費(交通事故)

さいとうゆたか弁護士

1 交通事故と将来介護費

交通事故で重度の後遺障害が残り、介護が必要となった場合、将来介護費が賠償の対象となりえます。

重度の高次脳機能障害についても将来介護費を認める多くの裁判例があります。

 

2 高次脳機能障害と将来介護費

福岡地裁平成17年7月12日判決は、1級の高次脳機能障害の被害者について将来介護費の賠償を認めました。

原告X1は,重篤な高次脳機能障害のため,日常生活において,

同判決は、以下の事情をもとに、介護が必要であるとしました。

「   (ア) 洗顔の際,自発的に手で水を汲むことができない。また,顔を拭くこともできない。動作の指示が必要。
(イ) 入れ歯洗浄剤の使い方を理解できない。毎回,袋を開ける・水の入った容器に入れる・入れ歯を入れるという行動を指示する必要がある。
(ウ) 少しでも自分が思った通りにできない状況になると,イライラして急に怒り始める。また,感情の浮き沈みが激しく,前触れもなく怒り出したり,泣き始めることがある。
(エ) 夜中にトイレに行くときには,便器の中に手を入れ,底に貯まっている水で手を洗ったりするなど,訳の分からない行動をする。
(オ) 記憶力に障害があり,自分の住所・年齢さえも覚えられない。同じデイサービスの利用者のことを覚えていられない。主治医を覚えていない。その日に,デイサービスで何をしたのかさえも覚えていない。
(カ) 1桁の足し算さえもできない。
(キ) 現時点では誰も入っていない墓の前で,「じいちゃん(実父),Bやん(実姉)。X1とC(実兄)が来たで,守ってや」と言う。福岡と徳島の区別ができていない。長男である原告X3のことを実兄のCと思っている。
などの異常を示しており,日常生活全てに介助・監視が必要な状態である。」

 

その上で、職業介護人について1日2万5392円、平日土日の夜間の近親者介護人について1日4000円、日曜日について1日8000円の介護費用を認めました。

名古屋地裁平成25年3月19日判決では、5級の高次脳機能障害の被害者について、日額3000円の介護費用の賠償を認めました。

高次脳機能障害の被害者で介護が必要な場合、将来介護費用がかなりのボリュームとなりますので、適切に主張立証していくことが重要です。

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