三浦春馬さんの兄、弟を名乗る動画などの違法性

さいとうゆたか弁護士

俳優の三浦春馬さんが亡くなりました。

「こんな夜更けにバナナかよ」では主人公に振り回される役柄をしっくり演じられていましたし、大変残念です。

ご冥福をお祈りいたします。

さて、これまで著名人が亡くなった場合、YouTubeなどに親族を名乗る動画がアップされることが多くなされてきました。

現時点でもふざけて三浦春馬さんのご親族を名乗るツイートも見受けられますし、三浦春馬さんについてもご親族を名乗る動画がアップされるのではないかと懸念する声があります。

この点、三浦春馬さんのご親族でもないのにそのような振りをして動画をアップした場合、違法評価される可能性があることに注意が必要です。

この点、大阪地裁平成1年12月27日判決(日本でのエイズ患者一号とされる方のプライバシーにかかわる情報が報道され、ご遺族が出版社に損害賠償請求をした事件についての判決)は、以下のとおり述べ、亡くなった方のプライバシーを侵害するような報道がなされた場合について、ご遺族の敬愛追慕の情、ひいては人格権を侵害するものとして、慰謝料の支払いを命じています。

「生存しておればプライバシーの権利の侵害となるべき私生活上他人に知られたくないきわめて重大な事実ないしそれらしく受け取られる事柄を暴露されたものということができる。」
「このように、本件報道は、亡春子の名誉を著しく毀損し、かつ生存者の場合であればプライバシーの権利の侵害となるべき亡春子の私生活上他人に知られたくないきわめて重大な事実ないしそれらしく受け取られる事柄を暴露したものであるが、このような報道により亡春子の両親である原告らは、亡春子に対する敬愛追慕の情を著しく侵害されたものと認められる。」
「したがって、本件報道は、原告らの右人格権を侵害するものである。」

 

同判決では、記事の公共性、公益性、真実性によって違法性が阻却されるのではないかが争われました。

しかし、亡くなった著名人について、親族ではない人が、視聴を稼ぐために、親族であるかの虚偽事実を述べ、亡くなった方の私生活上の事実と受け止められるような事実を不特定多数に向かった話す場合、公共性、公益性、真実性のいずれも認められず、違法性が阻却される余地はないと考えます。

ですから、兄や弟でもないのに兄や弟を名乗る動画がアップしようと考えている方は、ご遺族の心情を慮り、また、その行為による法的責任についても慎重に考え、アップをやめていただければと思います。

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