高次脳機能障害と後見申立費用、後見人報酬(交通事故)

さいとうゆたか弁護士

1 交通事故と後見関連費用

交通事故による後遺障害で判断能力が不十分となった場合、交通事故による損害賠償請求をするにしても、得られた賠償金を管理するにしても、成年後見人を付することが必要となる場合があります。
そのような場合、後見申立費用や後見人報酬が損害賠償の対象となることもあります。
重度の高次脳機能障害においても、後見申立費用や後見人報酬が事故と因果関係あるものとして賠償の対象となることがあります。

2 高次脳機能障害と後見関連費用

水戸地裁下妻支部平成21年12月17日判決は、別表第一の2級の高次脳機能障害の被害者について後見申立費用賠償を認めました。

当該被害者には、以下の症状がありました。
① 物忘れ症状
② 新しいことの学習障害
③ 感情が爆発的で,ちょっとしたことで切れやすい
④ 計画的な行動を遂行する能力の障害
⑤ 行動を自発的に抑制する能力の障害
情動の障害があり,苛々しやすく,ささいなことで爆発的に怒り出し,制止不能となる。人物誤認がある(自分の子を自分の兄と思って話し掛ける。)。作話が目立つ。段取りが立てられず,集中力や持続力がなく,自らメモをとったり,何か物事を自分からしようとすることがなくなった。簡単な漢字(小学校1,2年生レベル)も書けなくなった。2つの物事を同時にすることができない。」

このような症状を前提に、裁判所は、以下のとおり後見申立費用の賠償を認めました。

「原告X1は,本件事故による後遺障害のため,自分の財産管理をすることができない状態となり,平成18年11月6日,原告X3の申立てにより,原告X1について成年後見を開始し,その成年後見人として原告X3を選任する旨の審判がされ,同月23日,当該審判は確定した。この手続費用として,申立手数料800円,送達送付費用(郵券)3160円,鑑定費用5万円及び後見登記手数料(登記印紙代)4000円を要したほか,成年後見開始審判申立書に添付すべき成年後見用診断書の作成料として4470円を要した(以上甲A14~甲A16,弁論の全趣旨)。」
「したがって,本件事故と相当因果関係のある成年後見申立費用は,(1)の合計6万2430円となる。」

同判決は、後見申立費用を認めたものですが、名古屋地裁平成27年12月15日判決は5級の高次脳機能障害の被害者について後見人報酬の賠償も認めているところです。

よって、重度の高次脳機能障害で成年後見申立が想定される場合、損害賠償時においてもその関連費用の賠償請求をすることが重要です。

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