春名風花さんとネット中傷の投稿者との示談

さいとうゆたか弁護士

1 春名風花さんが示談金315万4000円での示談

報道によると、春名風花さんがツイッターで虚偽の内容を投稿されたとして損害賠償請求をしていた件について、315万4000円での示談が成立したとのことです。
このような解決はよくあるものなのか、以下解説します。

2 ネットでの名誉棄損における慰謝料額

ネット上での名誉棄損による慰謝料額で100万円を超える事例はかなり珍しいと言っていいです。
東京地裁平成28年12月27日判決は、大学の特任助教であった原告がパワーハラスメントをしたとのインターネット新聞の記事が違法な名誉棄損となるした上で、60万円の損害賠償を命じています。
東京地裁平成28年11月24日判決は、弁護士である原告が国連特別報告者に虚偽報告をしたとのツイートについて違法な名誉棄損となるとした上で、1投稿10万円、計50万円の慰謝料支払いを命じています。
東京地裁平成28年9月21日判決は、「□□こと原告Aが他の日本人10名ほどを引き連れて本件コンベンションに参加し,周囲の迷惑も顧みずマナー違反を繰り返し,キャストの身体に触りまくったり,□△でブログ主のテーブルに乱入してDの膝の上に座ったり,その様子を撮影するように同席者に強要したりして,本件コンベンションで他の参加者に多大な迷惑をかけ,ブログ主のDとの交流を妨害したなどとして,原告Aの規範意識や常識を非難する趣旨」の記事がブログに掲載されたことが違法な名誉棄損に該当するとした上で、慰謝料30万円を認めています。

これらの事例から明らかなとおり、ネット上の名誉棄損による慰謝料額は数十万円というケースが多くなっています。
もちろん、名誉棄損された人が著名人であるかどうか、書き込まれた内容がかなり悪質な書き込みがどうか、多人数に見られたかどうかなどの要素により100万円を超えることもないではありません。
しかし、春名風花さんに対する名誉棄損について示談金315万4000円というのはかなりレベルの高い解決だと思います。
春名風花さんが著名人ということもあるでしょうが、刑事告訴も並行してなされたことなどの要素により金額が跳ね上がったと考えられます。

今回の解決水準としては名誉棄損事件を扱う弁護士としては驚く水準の数字ではありますが、違法な書き込み抑止のためには本来あるべき水準なのだとも思います。
被害者代理人や裁判所の水準向上に向けての努力が必要だと思います。

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