高次脳機能障害と後遺障害慰謝料(交通事故)

さいとうゆたか弁護士

1 交通事故と後遺障害慰謝料

交通事故で後遺障害が残った場合、その後遺障害の等級に応じて慰謝料が支払われることがあります。
多くの場合、「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準 上巻(基準編)」(いわゆる赤本)に記載されている等級毎の目安金額が支払われることが多いです。
しかし、具体的状況に応じてこの目安を超える慰謝料が払われることがあります。
高次脳機能障害の場合、仕事だけではなく私生活でも大変な困難を抱えることとなります。そのような事情を反映し、目安以上の慰謝料が払われることも珍しくありません。

2 高次脳機能障害と後遺障害慰謝料

東京地裁平成16年6月29日判決は、1級3号の高次脳機能障害(大学院生)について、以下のとおり本人分3000万円、父母各400万円、計3800万円の慰謝料を認めました(赤本で1級は2800万円)。

「本件事故の態様,原告Aの前記後遺障害の内容・程度その他諸般の事情を考慮すると,後遺障害慰謝料としては3000万円が相当である。」
「本件事故により,原告Aは,前記のとおり,認知障害,記憶障害などの重度の高次脳機能障害を負い,大人の人格から幼児の人格に変わってしまい,往時の輝かしい生活と洋々たる前途を一瞬にして奪われたこと,そのような原告Aを常時身近にいて見守り,看護せざるを得ない両親にとって残念無念の極みであることは容易に推察することができること,そして,その精神的苦痛の大きさに加えて,介護による肉体的・精神的負担も重いこと等諸般の事情を考慮すると,原告B及び原告Cは,原告Aの死亡にも比肩すべき精神的苦痛を被ったというべきであり,近親者固有の慰謝料として,各400万円が相当と認める。」

また、横浜地裁平成29年2月22日判決は、5級の高次脳機能障害(高校生)について、以下のとおり1500万円の慰謝料を認めました(赤本で5級は1400万円)。

「原告が高次脳機能障害によって自賠法施行令別表第二第5級2号に相当する障害を有することとなった等の事実関係,殊に原告が本件事故によって高等学校における学業の途を実質上断たれ,将来の職業選択の範囲を狭められる結果となったことなどを考慮すると,後遺障害慰謝料額は1500万円とするのが相当である。」

特に被害者が若い高次脳機能障害については、後遺障害の内容や生活に与える影響などを主張立証し、適切な慰謝料額を算定させることが重要となります。

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