脊髄損傷(四肢麻痺、両下肢麻痺)と付添看護費(交通事故)

さいとうゆたか弁護士

1 交通事故と付添看護費

交通事故で入院した場合、親族が立ち会うことが多くあります。
しかし、現在では完全看護であり、親族が立ち会う必要がないとして、親族が立ち会ったことによる損害である付添看護費が認められないことがあります。
他方、重度の後遺障害の場合、親族が立ち会う必要性が認められ、付添看護費が認められることが多くあります。
以下、脊髄損傷(四肢麻痺、両下肢麻痺)の場合についてみていきます。

 

2 脊髄損傷(四肢麻痺、両下肢麻痺)と付添看護費

脊髄損傷で1級の後遺障害が残った被害者についての名古屋地裁平成5年8月27日判決は、以下のとおり述べ、親族の付添看護費の賠償を認めています。

「原告X1の受傷内容、治療経過、甲二の一ないし三、甲四の一ないし四、甲六、甲二八、甲二九、原告X2本人尋問の結果によれば、①原告X1は、本件事故のため前示第二、一3の各傷害を負い、土岐市立総合病院に入院して脊椎損傷の手術等の治療を受けたが効果があがらず、入院中から現在まで、一人では起立・歩行・体動がすべて困難で、胸部以下の知覚も脱失し、膀胱・直腸にも障害がある等の状態が継続しており、また、退院時までは呼吸管理のため咽喉部を切開してカニューレを入れていたほか、入院当初は、「殺してくれ。」等と叫ぶなど精神的に不安定な状態であった、②このため、右入院中も、付添人がついて、褥創防止に二、三時間毎に二人がかりで寝返りを打たせ、排尿・排便を始末するなどの看護をしており、(a)入院当初の約一か月は、近親者三名が、(b)平成二年八月二六日から一〇月三日までは、家政婦と近親者との二名が、(c)それ以外の時期は、近親者一名が、それぞれ常時原告X1に付き添って看護していた、以上の事実が認められる。」
「右付添看護のため、家政婦費用として六八万二五七七円を、同じく付添のための近親者の通院交通費として八一万五二〇〇円を要したことは当事者間に争いがない。また、右(一)認定の事実によれば、原告X1には、前示入院期間四三九日間につき常時近親者一名の付添が必要であり、これに加えて、右(一)(a)の三〇日間更に二名の近親者の付添を要したものと認められるところ、その費用を一人一日当たり四五〇〇円と認めるのが相当である。この近親者付添看護の費用を計算すると、次のとおり二二四万五五〇〇円となるから、結局以上を合計すると、付添看護費用の総額は、三七四万三二七七円となる。」

このように、寝返りなどを援助するため、不穏状態を抑えるための親族の付添について付添看護費が認められています。
ただちに命にかかわる状況でなければ脊髄損傷であるということだけでは付添看護費用は認められにくいので、不穏抑制や寝返り援助など親族付添の必要性を的確に主張立証することがポイントとなります。

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