
1 交通事故と介護用品等
交通事故で重度の後遺障害が残った場合、介護用品の購入が必要となることがあります。
そのような場合には介護用品代が賠償の対象となることがあります。
脊髄損傷(四肢麻痺、両下肢麻痺)の場合でも介護用品が必要となることが多く、その賠償が認められることも多いです。
2 脊髄損傷(四肢麻痺、両下肢麻痺)と介護用品代
東京地裁平成10年3月25日判決は、以下のとおり述べ、胸椎損傷により下半身の機能を失った被害者について、車椅子代(4年毎の買い替え費用も含む)の賠償(労災からの支給は考慮せず)を認めています。
「 車いす代は二二万四三〇〇円である(甲第一四号証)ところ、原告は、一度目の買換えの際、一一万一二六四円の支出をしただけでそれを超える分は労災保険から給付を受けている(甲第一二号証五頁、第一五号証の一)。」
「しかしながら、労災保険から給付を受けられるか否か、あるいは、労災保険からの給付内容等は、将来において不確定なものであるから、将来の車いす代を算定する際には、労災保険からの給付を考慮すべきではない。」
「それゆえ、原告が車いすを購入した平成八年九月三〇日(ただし、このとき支出した金額は一一万一二六四円と確定しているから、この金額が損害となる。甲第一五号証の一)から四年ごとに車いすを買い換える必要がある(甲第一二号証五頁、弁論の全趣旨)。」
「すなわち、右車いすを買い換える平成一二年九月二九日(原告は、昭和四六年○月○日生まれであるから二九歳となる。甲第五号証)から原告の平均余命四八年の間に一二回車いすを買い換える必要があることになる。」
「したがって、将来の車いす代は、原告主張の一〇四万一〇三二円を下回らない。」
その他、さいたま地裁平成16年1月14日判決は、脊髄損傷の被害者について、介護ベッド代(10年毎の買い替え費用も)、屋内用・屋外用・屋外リハビリテーション用(5年毎の買い替え費用も)の賠償を認めています。
これらの介護用品については、国の施策などにより補助がなされることがあります。
しかし、将来の費用については、その施策が続いているかどうか不明であるという理由で、施策によりなされた援助分を考慮しない金額での賠償が認められることに注意が必要です(後述の福島地裁判決も、介護用品のレンタル代について、健康保険から出された分を考慮しない算定をしています)。
なお、介護用品の中には、脊髄損傷がなくとも必要となるものもあります。
同居家族も利用する物もあるでしょう。
そのような場合には、介護用品代の一定割合だけ賠償対象とすることになります。
この点、福島地裁平成30年9月11日判決は、「原告の後遺障害の状況からすれば,原告の介護用品として,別紙4・5に列挙される物品などを購入する必要があるが,その中には本件事故で負傷しなくとも使用するもの,加齢に伴い必要となるものも含まれている点に鑑みると,その約半分に相当する年間12万円の限度で損害と認めるのが相当である。そこで,介護用品の購入費用としては,112万7232円(=年間12万円×9.3936【平均余命までの13年ライプニッツ係数】)の限度で損害となる。」として、後遺障害がなくても利用するような介護用品の代金のうち、その半額について賠償を認めています。
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