枝野幸男代表が議員会館で喫煙したことと健康増進法

さいとうゆたか弁護士

 報道によると、立憲民主党の枝野幸男代表は、衆議院議員会館事務所内での喫煙を続けていたということです。
 同人は、他の議員も喫煙をしていたかの供述をしているようです。

 健康増進法第二十九条は、「何人も、正当な理由がなくて、特定施設等においては、次の各号に掲げる特定施設等の区分に応じ、当該特定施設等の当該各号に定める場所(以下この節において「喫煙禁止場所」という。)で喫煙をしてはならない。」、「二 第二種施設 次に掲げる場所以外の屋内の場所 イ 第三十三条第三項第一号に規定する喫煙専用室の場所 ロ 喫煙関連研究場所」としています。

 ここで第二種施設とは、多数の者が利用する施設のうち、第一種施設及び喫煙目的施設以外の施設をいい、議員会館事務所は第二種施設に該当します。

 よって、議員会館事務所においては、喫煙専用室以外で喫煙してはならないことになります。

 同法29条2項は、「都道府県知事は、前項の規定に違反して喫煙をしている者に対し、喫煙の中止又は同項第一号から第三号までに掲げる特定施設の喫煙禁止場所からの退出を命ずることができる。」としています。
 そして、同法第七十七条「次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の過料に処する。一 第二十九条第二項の規定に基づく命令に違反した者」としています。

 ですから、仮に小池都知事が、議員会館事務所内で喫煙をしている国会議員に対し喫煙の中止を求め、それにも関わらず国会議員が喫煙を継続した場合、30万円以下の過料(お金を払わせる制裁)を受けることになります。

 禁煙は、たばこを吸う人の健康だけの問題ではありません。
 事務所に勤務している職員の方々副流煙による健康被害を被る可能性があります。
 国民の命と健康を守るべき国会議員の職にある人々が、自ら成立に関与した法律に違反し、その雇用する職員の生命健康を危険にさらしていたということであれば到底許されることではありません。
 徹底的な反省と再発防止が不可欠です。
 この点、同法30条2項は「特定施設の管理権原者等は、当該特定施設の喫煙禁止場所において、喫煙をし、又は喫煙をしようとする者に対し、喫煙の中止又は当該喫煙禁止場所からの退出を求めるよう努めなければならない。」としていますので(ここで「特定施設」には第二種施設も含みます)、議員会館の管理権者である両院各議長は、議員が喫煙しているかどうか調査し、中止を求めるなどすべきでしょう。

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