
1 非監護親への嫌悪と面会交流の拒否
離婚になるような状況では、監護親が非監護親に対し強い嫌悪を抱いている場合が多くあります。
そのような場合、監護親が、その感情を主たる動機として、非監護親と子どもの関係が悪くないのに、面会交流を拒否することがあります。
そして、面会交流の調停等でも、調停委員が、「監護親が面会を拒否しているので、面会は中々難しい」という趣旨の発言をし、中々調停が進まない場合もあります。
果たして、監護親と非監護親の不仲は面会交流を拒否する理由となるのでしょうか?
2 大阪高裁令和1年11月8日決定
大阪高裁令和1年11月8日決定は、監護親(母親)が、不貞をした非監護親(父親)への嫌悪感から子どもらとの直接の面会交流を拒否したという事案についての決定です。
子どもたちと父親との関係は良好です。
第1審は、診断書から、母親において父親と接触すると心身の不調を来す状況にあると認定し、直接の面会交流を認めず、間接交流のみを認めました。
これに対し、第2審の大阪高裁は、
・「父と未成年者らの従前の父子関係は良好であり、平成30年6月末ころまでは、宿泊はもとより2回にわたり家族で一緒に旅行に出かけるなど」していたこと
・「その際、父や未成年者らに対して不適切な言動に及んだことも窺われない」こと
・「未成年者らは、現在も父を慕い、直接交流の再開を望んでいること」
などを理由に、直接交流をさせない理由はないとしました。
母親の心身不調については、
・母親が就業していること
・9歳と6歳という未成年者らの年齢からは、父母が面会しない引き渡しも可能であること
を理由として、直接交流を妨げる理由とはならないとしました。
面会交流はあくまで子どものためのものです。
子どもが面会を望んでいるにも関わらず、監護親の都合で面会をさせないことは許されないものであり、高裁の決定は穏当なものと思います。
私自身も、監護親である母親が面会拒否をしているという理由で家裁で面会拒否の審判を出されたものの、東京高裁で逆転で面会が認められたこともあります。
面会について子どもの福祉に直接悪影響があると言えない事例については、たとえ監護親が強硬に面会に反対しても、審判・抗告等で争う意味はあると思います。
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