やらせ投稿で刑事罰。法的な問題は?

さいとうゆたか弁護士

アマゾンで星一つのやらせ投稿で刑事罰

報道によると、アマゾンのレビュー欄で競合社の商品のレビュー欄に悪い内容を書かせたとして、信用棄損で別の会社の男性役員が罰金20万円に処せられたということです。
内容を書いた女性は、商品を使ったことがないのに、「一粒が大きくて飲みにくかった」などと記載し、星一つの評価をつけたとのことです。

今回問題となった信用棄損罪の条文は以下のとおりです。

第二百三十三条 虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

今回、被害にあった会社は、書き込んだ女性と依頼をした男性役員をつきとめ、被害届を出したとのことです。
実際に行われた具体的な方法は不明ですが、アマゾン社に対し女性が書き込んだ際の記録(IPアドレス等)の開示を求め、それをもとにプロバイダに氏名等の開示を求める等の手続きが想定されるところだと思います。

今回は刑事責任が問題となりましたが、男性役員らについては民事責任もありうるところです。

例えば、商品の性能に関する記載が信用棄損に該当するとした裁判例として、東京地裁平成7年2月16日判決があります。

これは、生活雑誌が浄水器の性能についての記事を掲載したことについての裁判例です。
同判決は、「浄水器は約に立つか」との項目において、八器種の浄水器に関してトリハロメタン除去能力、溜り水中の一般細菌数及びカビ臭の除去能力をテストした結果を示した記事であって、直接、原告の製造・販売にかかる本件浄水器の性能に関する実験結果を指摘した記事であるところ、同記事は、一般読者に対し、本件浄水器が、浄水器として消費者か期待する性能を備えていない劣った製品であるとの印象を与え、ひいてはその製造・販売元である原告の社会的価値を低下させるに足る記事であるといえるから、本件記事(一)ないし(三)は、原告の名誉ないし信用を毀損するものといえる。」としています(ただし、記事の真実性があるとして損害賠償責任は否定されています)。

今回の記事について、飲みにくいという製品特性についての記載は信用をき損すると言えるでしょう。
また、一粒が大きくて飲みにくいと受け取る消費者がいたという虚偽の事実を記載し、あるいはさせているため、男性役員や女性の賠償責任は免れない可能性があると考えます。

口コミについては競合他社からの妨害だけでなく、クレーマー消費者からの嫌がらせで虚偽の書き込みがなされることもあります。

虚偽の口コミでお悩みの方は、弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)にご相談ください。

まずはお電話(025-211-4854)か、メールでご連絡ください。

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