
石破氏陣営が選挙運動で「あつ森」を使うことは規約違反か?
自民党の総裁選で、石破氏陣営が「あつ森」を利用しようとしていることが話題になっています。
同時に、それが、「政治的な主張」を禁ずる任天堂の規約に違反するのではないかが話題になっています。
主張というのは、自分の見解を他の人に訴えることを言います。
ですから、単に党員と交流を深めることは、政治的な目的があるとしても「政治的な主張」には該当しないという解釈は十分ありうると思います。
2 任天堂による規制と憲法の人権保障
また、任天堂が政治的な主張を規制することは憲法の人権条項との関係で問題はないでしょうか?
そもそも、日本国憲法の下では、憲法21条や13条は様々な内容・形態のコミュニケーションを保障していると考えられます。
憲法は政府の権力をしばるものであり、民間である任天堂を直接しばるものではありません。
それでも、憲法が民主主義の達成に資する様々な内容・形態のコミュニケーションを保障している趣旨からすると、一定の場合には民間との関係でも憲法21条や13条の趣旨が貫通されるべきです。
例えば、芦部信喜著「憲法学Ⅱ 人権総論」299頁以下は、会社の就業規則等の解釈において憲法の趣旨を踏まえた解釈をすべきであるとの考え方を紹介しています。具体的には、「会社主催の講習会で自己の宗教と異なる神道にかかわる宗教行事に参加せず帰社を命じられた社員が、就業規則にいう『会社の名誉、信用をきずつけたとき』に該当するとして懲戒処分さされた場合、その解雇が無効かどうかを判定するには、就業規則の右概括条項を憲法20条の趣旨を充填して解釈しなければならない」として、名古屋地裁昭和38年4月26日判決を紹介しているところです。
そうすると、任天堂の規約についても憲法21条や13条の趣旨を踏まえた解釈がなされるべきだと考えます。
このことは「あつ森」が多数の人が利用するプラットフォームになっていること、「あつ森」がその内容について公権力のみならず民間も関与することが原則として許されない通信に関わるものであることからも裏付けられると考えます。
そうだとすると、石破氏が、「あつ森」で自説を訴えるのではなく、自民党員と交流だけする限りにおいて、任天堂の規約違反になると解釈すべきではないと考えます。
岸田さんの写真の件もそうですが、政策や人格識見等以外の部分をクローズアップするやり方は決して総裁選を実りあるものにはしないと考えます。
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