アマゾンジャパンが取引先1400社に約20億円返金

さいとうゆたか弁護士

アマゾンジャパンが改善計画を公正取引委員会に提出

アマゾンジャパンは、公正取引委員会から優越的地位の濫用に該当する疑いがあると通知されていた件について、確約計画を公正取引委員会に提出していました。

本日公正取引委員会は当該確約計画を認定しました。

 

優越的地位の濫用

 

独占禁止法2条9項5号は、以下のような行為を、優越的地位の濫用として、「不公正な取引方法」に該当するとしています。

 

「五 自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して、正常な商慣習に照らして不当に、次のいずれかに該当する行為をすること。

イ 継続して取引する相手方(新たに継続して取引しようとする相手方を含む。ロにおいて同じ。)に対して、当該取引に係る商品又は役務以外の商品又は役務を購入させること。

ロ 継続して取引する相手方に対して、自己のために金銭、役務その他の経済上の利益を提供させること。

ハ 取引の相手方からの取引に係る商品の受領を拒み、取引の相手方から取引に係る商品を受領した後当該商品を当該取引の相手方に引き取らせ、取引の相手方に対して取引の対価の支払を遅らせ、若しくはその額を減じ、その他取引の相手方に不利益となるように取引の条件を設定し、若しくは変更し、又は取引を実施すること。」

 

アマゾンジャパンが優越的地位の濫用に該当すると指摘されていたのは、アマゾンジャパンが仕入れた商品について売り上げ目標が達せられない場合に仕入れ業者に金銭を提供させたこと、協賛金の支払をさせたこと、正当な理由もないのに仕入れ業者に返品を受け入れさせていたこと等です。

これらは、上記ロやハに該当する可能性がある行為と言えます。

そのため、公正取引委員会は、アマゾンジャパンに対し、優越的地位の濫用に該当する疑いがあると通知し、それを受け、アマゾンジャパンは確約計画を公正取引委員会に提出したわけです。

 

確約計画の効果

 

アマゾンジャパンの確約計画は、不当に払わせたお金の返還や問題とされた行為の中止を内容としています。

確約計画について、独占禁止法は、以下のとおり定めています。

 

第四十八条の三 前条の規定による通知を受けた者は、疑いの理由となつた行為を排除するために必要な措置を自ら策定し、実施しようとするときは、公正取引委員会規則で定めるところにより、その実施しようとする措置(以下この条から第四十八条の五までにおいて「排除措置」という。)に関する計画(以下この条及び第四十八条の五において「排除措置計画」という。)を作成し、これを当該通知の日から六十日以内に公正取引委員会に提出して、その認定を申請することができる。

 

確約計画が認定されると、公正取引委員会が当該行為の差止め等を行うことができなくなります。

ただし、計画が実施されていない場合等には認定は取り消されることになります。よって差止等を命ずることが可能となります。

アマゾンジャパンが確約計画を遵守するのか、注視が必要です。

 

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