就学後の監護者指定

1 監護者指定における判断要素

監護者指定の審判においては、従来の監護状況、現状維持の要請、子どもの意思などが考慮されます。
この点、未就学の子どもについては、母親が主に監護を担うことが多い現状から、母親が監護者として指定されることが多いのが現実です。
しかし、就学後の子どもの監護者指定については、子どもが生活する領域が学校等に広がるため、過度に過去の監護状況のみを重視すべきではないと考えられます。
以下、実際の裁判例をみてみます。

2 父を監護者として指定した裁判例

福岡高裁令和1年10月29日決定は、福岡家裁大牟田支部が母親を監護者とした決定を覆し、父親を監護者として指定しました。

この事案では、
・子どもが母親により親和性を持っている
・子どもは父親にも親和性を持っている
・父親は、母親との別居後、子どもらの生活や学習の細部にわたって配慮し、その心身の安定に寄与していることから、父母の監護能力と子どもらとの関係に問題はない
・宿泊付き面会交流が安定的に実施されている
という事情がありました。

このような事情を踏まえ、同決定は、以下のとおり述べます。

「就学後の子について監護者を定めるにあたっては、従前からの安定した監護環境ないし生活環境を維持することによる利益を十分考慮する必要があり、乳幼児期の主たる監護者であった相手方との親和性を直ちに優先すべきとまではいえない。さらに、長女は、相手方との面会交流時にはEで相手方と暮らしたいと繰り返し発言しているが、担任教諭に対してはZ小学校や友人と離別することへの強い不安を訴えているのであって、相手方への上記発言が長女の相手方への思慕を示す表現であるとしても、本件監護者指定における位置づけについては慎重に評価・判断する必要がある」

このように、同決定は、就学後の子どもについて、学校等の生活環境の維持について十分配慮すべきだとしており、乳幼児期における主たる監護者が誰であるかを過剰に重視すべきではないとしています。

就学後の子どもの世界が家の外に広がりつつあることを考えると、妥当な判断かと思います。

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