メンテナンス作業員のアスベスト曝露と損害賠償

さいとうゆたか弁護士

1 ビルメンテナンス等のメンテナンス作業員のアスベスト曝露

 

これまで、ビルメンテナンス等のメンテナンス作業員が、アスベストの危険性について認識しないまま、アスベストに曝露する環境で就労させられることが問題視されてきました。

実際にビルメンテナンスの作業員がアスベスト曝露し、肺がんとなり、労災決定されたこともあります。

このようにメンテナンス作業員のアスベスト曝露は深刻な問題であり、メンテナンス作業員がアスベスト曝露し、結果として肺がんや中皮腫となった場合、使用者や建物の管理者が賠償責任を負うこともありえます。

以下、石綿が使用されていた体育館の現場管理を行う職員が、アスベストに曝露し、よって肺がんとなり、死亡した事件についての福岡地裁令和2年6月3日判決は、以下のとおり述べ、使用者と体育館管理者の賠償責任を認めていますので、ご紹介します。

 

2 福岡地裁令和2年6月3日判決

 

同判決は、使用者については、「(被災労働者が勤務するようになった)平成2年5月頃には、安全配慮義務違反の前提となる予見可能性が認められるから、同月以降は、安全配慮義務として、石綿粉じんの発生及び飛散の防止並びに粉じん吸入の防止についてその時期に応じて必要な措置を講じ、従業員の生命・健康に重大な障害が生じることを防止する義務を負っていたものというべきである」としました。具体的には、使用者が、ⅰ 石綿の使用状況についての調査・確認義務、ⅱ 防じんマスクの支給と着用確保義務、ⅲ 防じん教育義務等の履行を果たしているかを検討し、結果として安全配慮義務違反があったとしました。

体育館を設置・管理する北九州市については、「遅くとも被災労働者が本件体育館における勤務を開始した平成2年5月頃までには、建築物の石綿含有吹き付け材(石綿含有率5%以上の吹き付けロックウールを含む。)の曝露による健康被害の危険性及びそのような石綿の除去等の対策の必要性が広く世間一般に認識されるようになり、同時点で、本件体育館は通常有すべき安全性を欠くと評価されるようになった」として、やはり賠償責任を認めています。

このようにビルメンテナンスなどのメンテナンス作業員については、アスベスト曝露により疾病に罹患した場合、使用者のみならず、対象となる建物の設置・管理者等も賠償責任を負うことがあることになります。

 

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