
1 ウーバーの自転車に追突された女性がウーバーを提訴したとの報道
報道によると、ウーバーの配達員の自転車に追突され、負傷した女性がウーバーに使用者責任として賠償請求をする訴訟を起こしたとのことです。
これに対し、ウーバーは、雇用関係がないため責任を負わないと答弁しているようです。
2 ウーバーと使用者責任について
この使用者責任について、民法は以下のとおり定めています。
第七百十五条 「ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。」
この使用者責任が生ずる典型例は雇用契約です。
しかし、「715条の立法趣旨からすれば、要するに、一方(使用者)が他方(被用者)を実質的に指揮監督して仕事をさせるという関係があることを要し、またそれがあれば足りる」(幾代通著徳本伸一補訂「不法行為法」196頁以下)と解されています。
ですから、ウーバーと配達員が雇用関係にあることは使用者責任の必然的な要件ではありません。
ウーバーが実質的に配達員を指揮しているような関係があれば使用者責任が認められる可能性はあります。
3 ウーバーの作為義務違反による賠償責任
また、使用者責任が認められない場合でもウーバーに損害賠償責任が認められる余地はあると考えられます。
仮に、ウーバーにおいて、ウーバーの配達員の乱暴な運転による事故が多発している状況を把握しつつ、刺激的報酬体系をそのままとし、その他特段の対応も取らず、利益を収受し続けるだけだったと言えるのであれば、ウーバーが条理上の作為義務に違反するものとして賠償義務を負う可能性はあると考えます。
昨今、雇用をすることによる負担を免れるため、雇用以外の形態で人を利用することが増えています。
そのことで対第三者の責任も免れることになると、第三者を保護できないだけでなく、雇用融解に向かいかねません。
裁判所は、そのような新しい時代に即した解釈論を認めるべきだと考えます。
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