内縁と死亡交通事故

1 内縁と逸失利益

内縁の夫婦間では相続が発生しません。
交通事故で死亡した場合、被害者の労働能力が失われ、その分について逸失利益として賠償の対象となります。
この逸失利益の損害賠償請求権は、一旦被害者本人が取得し、それを相続人が相続するとされます。
よって、内縁のパートナーが交通事故で死んでも、相続人ではない以上逸失利益の請求はできないことになります。

2 扶養利益喪失

そこで、内縁の夫婦間において、一方が交通事故死した場合、他方が交通事故で扶養利益を失ったとして損害賠償請求をすることが考えられます。

例えば、東京地裁平成12年9月13日判決は、10年以上の内縁の妻に、内縁の夫死亡による扶養利益侵害の損害賠償請求権を認めました。
逸失利益の50パーセントの扶養利益侵害が認められています。

「原告X1は、本件事故当時、亡Aの事実上の妻として扶養されていたから、亡Aの死亡により原告X1は扶養権を侵害されたということができ、その生活実態や亡Aの生活費控除率を考慮すると、原告X1の扶養請求権侵害による損害は、亡Aの逸失利益の五〇パーセントである九四八万四二二三円を認めるのが相当である。」

また、東京地裁平成27年5月19日判決は、以下のとおり述べ、完全な同居はしていない内縁の夫婦について、被害者が毎月渡していた生活費の10年分の扶養利益侵害を認めました。

「亡Aは,本件事故当時,月18万円程度の収入があり,本件マンションの家賃7万5000円,水道光熱費約1万5000円を負担し,生活費として平均約3万円程度を原告に渡していたところ,本件マンションは亡Aの生活の本拠でもあること,亡Aは少なくとも月2回程度は本件マンションに来ており原告に渡された生活費は亡Aの生活のためにも費消されていることに照らすと,原告の生計の維持に充てるべき部分としては月6万円と見るのが相当である。また,期間は前記認定事実の下では亡Aの平均余命の2分の1である10年間(ライプニッツ係数7.7217)と認めるのが相当である。
そうすると,原告の扶養請求権侵害の損害額は,以下のとおり,555万9624円となる。
6万円×12か月×7.7217=555万9624円」

このように内縁の夫婦であっても、扶養利益侵害という名目で実質的に逸失利益の賠償請求をなしうる場合もあるので注意が必要です。

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