確定拠出年金・企業年金と財産分与

さいとうゆたか弁護士

1 年金と財産分与

現在、離婚時年金分割制度がありますので、厚生年金等については財産分与の対象ではなく、年金分割をすることができます。

しかし、確定拠出年金については年金分割の対象ではないので、財産分与の対象となりえます。

2 企業年金・確定拠出年金と財産分与

ただし、企業年金、確定拠出年金については将来の受取額も判然としないことが多く、財産分与の対象とならない場合もあります。

名古屋高裁平成21年5月28日判決は、「確定拠出年金は、いずれも夫が六〇歳で定年退職する際になって現実化する財産であると考えられるところ、夫は口頭弁論終結時四四歳で、定年までに一五年以上あることを考慮すると、上記退職金・年金の受給の確実性は必ずしも明確でなく、またこれらの本件別居時の価額を算出することもかなり困難である。したがって、本件では、上記退職金及び確定拠出年金については、直接清算的財産分与の対象とはせず、下記(8)のうちの扶養的財産分与の要素としてこれを斟酌するのが相当である。」として、定年15年前の時点においては確定拠出年金は清算的財産分与の対象とはならないとしています。ただし、一般論としては、確定拠出年金が財産分与の対象となることは認めています。

東京地裁平成14年10月21日判決は、退職後のケースですが、支払期間が定まっている企業年金について、中間利息控除をした額を分与対象としました。

横浜地裁相模原支部平成11年7月30日判決は、定年退職後のケースで、「扶養的財産分与として、今後被告の受領する年金(退職年金は除く。)の内前記原告受領額との差額の四割相当額について被告から原告に支払わせることが相当であるから、原告死亡まで月額一六万円を支払わせることとする。」とし、夫が老齢厚生年金、乙山電器厚生年金基金の基本年金及び加算年金、乙山電器福祉年金を受給していたケースで、夫婦の年金差額の4割分与を命じています。

このように、確定拠出年金・企業年金については、

ⅰ 年金支給まで間がある場合には清算的財産分与の対象とならないことがありうる

ⅱ 分与する場合には支給総額に中間利息控除をして分与対象とするか、扶養的財産分与として定期的に支給額の一定割合を分与させる

という解決がありえます。その他、少しの金額だけ分与対象として上乗せさせるということもありえます。

かなり解決方法に多様性があり、一様には定めがたい状況となっています。

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