親権者再婚・子どもの養子縁組をした場合と親権者変更(離婚)

執筆 新潟県弁護士会 弁護士齋藤裕(2019年度新潟県弁護士会会長、2023年度日弁連副会長)

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1 親権者再婚・養子縁組と親権者変更

民法819条6項は、「子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子の親族の請求によって、親権者を他の一方に変更することができる。」としています。

しかし、この規定は、単独親権者の場合にのみ適用されると考えられています。

例えば、離婚後、親権者が再婚し、再婚相手が子どもの養親となった場合、共同親権となります。

このような場合には民法819条6項は適用されません。

最高裁平成26年4月14日決定も、以下のとおり、このような場合に親権者変更をなしえないことを明らかにしています。

「民法819条は,1項から5項までにおいて,子の父母が離婚する場合等には,子は父又は母の一方の単独の親権に服することを前提として,親権者の指定等について規定し,これらの規定を受けて,6項において,親権者の変更について規定して,親権者を他の一方に変更することができるとしている。このような同条の規定の構造や同条6項の規定の文理に照らせば,子が実親の一方及び養親の共同親権に服する場合,子の親権者を他の一方の実親に変更することは,同項の予定しないところというべきである。他方,上記の場合において,親権者による親権の行使が不適切なもので子の保護の観点から何らかの措置をとる必要があるときは,親権喪失の審判等を通じて子の保護を図ることも可能である。」
「そうすると,子が実親の一方及び養親の共同親権に服する場合,民法819条6項の規定に基づき,子の親権者を他の一方の実親に変更することはできないというべきである。」

2 ふさわしくない養親をどのように排除するか

それでは、虐待等、親権者としてふさわしくない養親を排除するにはどうしたらよいでしょうか?

〇家裁に民法834条で親権喪失を求める

〇家裁に民法834条の2で親権停止を求める

〇民法815条により離縁を求める

という方法が考えられます。

その上で親権者変更ということもありうるでしょう。

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