離婚前の財産分与の取り決め・合意の効力

相続問題

1 離婚前の財産分与の取り決め・合意の効力

離婚時には当事者らの合意により財産分与をすることができます。
夫婦関係が悪化した場合、将来の離婚に備え、財産分与について取り決めることもよくあります。
この財産分与の取り決めについては、妥当な内容であれば有効であると考えられています。
宮崎地裁昭和58年11月29日判決は、以下のとおり述べて、相当な内容である場合には、離婚前の財産分与の合意は有効であるとしています。

「本件公正証書における離婚慰藉料並びに財産分与の各規定が無効であるとの原告の主張は、右認定のごとくいずれも理由がない。」
「離婚にともなう財産分与は本来当事者の協議によるべきであり、右協議が調わないとき又は協議ができないときにはじめて家庭裁判所に右協議に代わる処分の請求ができるものであつて、この理は裁判上の離婚の際に付帯的に申立てられる財産分与の申立も同様である。右の認定のごとく、原被告間の財産分与契約は有効であり、右契約は離婚とともに効力を有するものであつて、原被告間の財産分与については本件公正証書によつて既に協議が調つており、本件財産分与の申立は利益がなく却下されるべきである。」

なお、DVの事案で、被害者に極めて過酷な内容の取り決め・合意がなされた場合については、その効力が否定されることはありうるでしょう。

2 財産分与についての取り決め・合意の取り消し・解除

財産分与の合意をしてから離婚までに長年月がたち、対象不動産の価値が大きく変動するなど、財産分与についての取り決め・合意の効力をそのまま維持するのが不相当な場合もありえます。
そのような場合には、事情変更があったものとし、新たに取り決めをし直すこともありうるでしょう。
財産分与の裁判が事情変更により効力を失うことがあることについては、以下のとおり、広島高裁松江支部平成2年3月26日決定が述べているところです。

「財産分与を規律する実体法である民法,手続法である家事審判法には,財産分与の処分についていわゆる事情変更等により裁判所がなした審判,判決の取り消し,変更をなしうることを定めた規定は存しないのであるが,右審判,判決が確定後に該処分の審理中に現われなかつた新たな財産が判明するなど右裁判時に基礎とされた事情に錯誤があり,またはその後の事情の変更により当該審判,判決の確定による法的安定(家事審判法7条,非訟事件手続法19条3項参照)を考慮しても,これを維持して当事者を拘束することが著しく信義,衡平に反する場合は,これを取消し,変更することができるものと解するのが相当である。」

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