
執筆 新潟県弁護士会 弁護士齋藤裕(2019年度新潟県弁護士会会長、2023年度日弁連副会長)

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1 子どもからの親子交流・面会交流請求は認められるか?
親子交流・面会交流をめぐる圧倒的多くの事件は、非監護親から監護親に親子交流面会交流を求めるというものです。
ところが、たまに、非監護親が子どもと会おうとしないため、監護親において面会をしてもらいたいという要望を持つこともあります。
この点、そもそも親子交流・面会交流は子どもの利益のためになされるものと強調されますし、子どもには非監護親と面会する権利があるものと思われます。
ただし、子どもが申し立てる法的根拠がなく、実際上は監護親が調停等の申立をすることになります。
2 親子交流・面会交流を拒否する親に交流を命じた裁判例
さいたま家裁平成19年7月19日審判は、子どもが非監護親との親子交流・面会を希望し、その希望を受け監護親が非監護親を相手方とする親子交流・面会交流の申立をしたという事案です。
裁判所は、「面接交渉の早急な実施は,再婚家庭の環境を乱し,相手方の精神的不安を招く懸念がある。したがって,相手方には,未成年者の福祉を目指した前向きな姿勢での面接交渉を期待できない状況にあり,面接の実施が,必ずしも未成年者の心情に良い影響を与えられるとは言い切れない。」、「本件においては,将来的に完全に面接交渉を禁止すべき事情は窺われないものであるにしても,相手方と事件本人の直接の面接交渉を早急に実施することは,未成年者の福祉に必ずしも合致するものではなく,消極的にならざるを得ない。」として、面会が子どもの福祉に悪影響を及ぼす可能性があるとして、直接交流を認めませんでした。
他方、「将来的には,環境を整えて,面接交渉の円滑な実施が実現できるようになることが期待されるが,当分の間は,間接的に,手紙のやり取りを通じて交流を図ることとするのが相当である。したがって,相手方から未成年者宛の手紙を年4回,3か月ごとに書くことを命ずることとする。」として、間接交流を命じました。
一般論として言うと、親子交流・面会を拒否する非監護親が子どもと面会した場合に、子どもの心情を害する言動をする可能性はあると思われ、安易に直接面会を命ずることは妥当ではないと思われます。
そうはいっても、親子交流・面会交流が基本的には子どもの利益を追求するものであることからすると、間接交流程度を認めても良いケースは多いと思われます。
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