新潟県で相続放棄のお悩み弁護士齋藤裕に御相談ください

さいとうゆたか弁護士

執筆 新潟県弁護士会 弁護士齋藤裕(2019年度新潟県弁護士会会長、2023年度日弁連副会長)

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目次

1 相続放棄制度

2 借金があることを知らなかった場合はいつまで相続放棄できる?

3 家庭裁判所ではどの程度突っ込んだ審査をするのか?

4 相続放棄をするとすべての責任を免れる?

1 相続放棄制度

被相続人が借金を背負っているような場合、相続人が相続放棄をして、借金の相続を免れることができます。
その場合、プラスの財産も相続できなくなることに注意が必要です。
この相続放棄については、民法第九百十五条が「相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。」と定めています。
原則として被相続人が亡くなってから、あるいは被相続人が亡くなったことを知ってから3か月以内に家庭裁判所に相続放棄の申述をする必要があります。

2 借金があることを知らなかった場合はいつまで相続放棄できる?

相続人において被相続人が亡くなったことは知っていたものの、借金等があることは知らなかった場合、借金等があることを知ったときから3か月以内に相続放棄をなしうる可能性があります。
具体的には、相続人が、被相続人の死亡や自分が相続人となったことを知っていても、被相続人の生活歴、被相続人と相続人との間の交際状態、その他諸般の状況からみて当該相続人に対し相続財産の有無の調査を期待することが著しく困難な事情があり、そのため相続人において被相続人に財産がないと信じたような場合、相続人において財産があることを知ったときから3か月の期間が計算されることになります。

最高裁昭和56年10月22日判決は、相続放棄をなしうる3ケ月の期間は、申述人において、相続財産の全部または一部を認識し、あるいは認識できるときからスタートするとしています。参照:相続放棄についての判例

これをもとに下級審がどのような場合に相続放棄ができる3ケ月がスタートするのか、判断を重ねてきています。

以下、裁判例を紹介します。

3ケ月経過後の相続放棄を認めた東京地裁令和1年9月5日判決

東京地裁令和1年9月5日判決は、被相続人が住宅ローンの保証債務を負っていたケースについて、
ⅰ 主債務者による弁済が継続していればただちに弁済の負担や債権者からの請求を受けるものではないこと、よって相続人が保証債務の存在を知らないことも多いと思われること
ⅱ 相続人と被相続人が同居していたものではないこと
等の事情を踏まえ、相続人が銀行からの通知まで保証債務について知らなかったことに相当な理由があるとして、銀行からの通知時点から3か月の間は相続放棄をなしうるとしました。

3ケ月経過後の相続放棄を認めた東京高裁令和1年11月25日決定

東京高裁令和1年11月25日決定は、被相続人の不動産の固定資産税が未納となっていたケースについて、

ⅰ 相続放棄をした者が高齢であったこと、

ⅱ 被相続人と相続放棄をした者は疎遠であったこと、

ⅲ 相続放棄制度について誤解があったため、他の者が代表して相続放棄をすれば自分が別途相続放棄する必要はないと思っていたこと

ⅳ 固定資産税の額もある時期まで知らなかったこと

から、被相続人が死亡したことを知ったときから3ケ月経過後の相続放棄を認めました。

このように、例外的場合には、被相続人死去後3か月経過しても相続放棄ができる場合がありますので、そのような場合はまずは弁護士に相談してみましょう。

3 家庭裁判所ではどの程度突っ込んだ審査をするのか?

相続放棄は家庭裁判所に対して申述します。

他方、相続放棄をしたかどうかは、地方裁判所等における訴訟において、お金等の支払いを請求された側が、相続放棄をしたから支払わないと主張し、請求する側が相続放棄は無効だと主張する等して問題となることがあります。

この点、家庭裁判所での相続放棄の審理は簡潔に行い、詳しい審理は地方裁判所等での訴訟の中で行うべきという考え方があります。

東京高裁平成22年8月10日決定は、「相続放棄の申述がされた場合,相続放棄の要件の有無につき入念な審理をすることは予定されておらず,受理がされても相続放棄が実体要件を備えていることが確定されるものではないのに対し,却下されると相続放棄が民法938条の要件を欠き,相続放棄したことを主張できなくなることにかんがみれば,家庭裁判所は,却下すべきことが明らかな場合以外は,相続放棄の申述を受理すべき」として、相続放棄を認めるべきではないことが明らかな場合以外、家裁は相続放棄を受理すべきとしています。

より具体的には、家裁においては、賃料請求等の訴状が特別送達され、その時点で申述人としては被相続人の債務や財産について知った、それから3ケ月を経過した後の申述なので相続放棄は認められないと判断していたのですが、高裁決定では、特別送達でも誤配の可能性があり、明らかに相続放棄が認められないとは言えない、実際に送達されたかどうかは地裁の訴訟の中で審理すべき等として、相続放棄を認めました。

必ずしもこのような判断が一般的とも思われませんが、相続放棄できるかどうかきわどい事案では参考になる裁判例かと思います。

4 相続放棄をするとすべての責任を免れる?

ところで、相続放棄をした人について、民法第九百四十条は、「相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。」としています。

そのため、相続放棄をしても、自分が実際には関与していない不動産の管理責任を負い続けるのではないかという不安を抱く方も多かったと思います。

この点、令和3年相続法改正により、「相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は第952条第1項の相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない。」という条文に改められました。参照:民法

このため、相続放棄をした人も、自分が占有していない財産について管理責任を負うものではないことが明確化され、相続放棄をした人の不安がかなり軽減されると思います。

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