新型コロナと一時帰休

労災、解雇問題

1 新型コロナと一時帰休

 

新型コロナの影響で、一時帰休を行う会社が出てきています。

全日空のサヴァティカル休暇制度もこの一種と言えるでしょう。

売上の状況から一時帰休がやむを得ない場合も多いと思われますが、あくまで労働法を遵守して行わなくてはなりません。

以下、一時帰休と賃金の関係について解説します。

 

2 一時帰休と賃金

 

一時帰休を実施した場合の賃金請求権について判断をした横浜地裁平成12年12月14日判決は、「帰休制実施によって労働者が被る不利益の程度,使用者側の帰休制実施の必要性の内容・程度,労働組合等との交渉の経緯,他の労働組合又は他の従業員の対応等」を総合考慮して合理性を判断し、合理性がある場合にのみ賃金不払いが許されるとしています。

また、これも一時帰休について判断をした宇都宮地裁栃木支部平成21年5月12日判決は、「使用者による休業によって労働者が被る不利益の内容・程度,使用者側の休業の実施の必要性の内容・程度,他の労働者や同一職場の就労者との均衡の有無・程度,労働組合等との事前・事後の説明・交渉の有無・内容,交渉の経緯,他の労働組合又は他の労働者の対応等を総合考慮」して判断するとしています。その上で、

・一時帰休が3か月という長期間であったこと

・正社員の扱いとの差が著しい

・同業他社が同じようなことをしているわけではない

等の事情を踏まえ、最終的に賃金請求権を認めています。

よって、上記裁判例で指摘されたような事情、つまり、

・一時帰休で労働者が被る不利益の程度,

・使用者側の帰休制実施の必要性の内容・程度,

・労働組合等との交渉の経緯,他の労働組合又は他の従業員の対応

・他の労働者や同一職場の就労者との均衡の有無・程度

を考慮して合理性がある場合でなければ一時帰休による賃金カットは許されないと考えられます。

現在では、旅客・飲食を中心として、業界全体として経営が苦しい場合が多く、一時帰休による賃金カットが合理化されやすい環境があるとは言えます。

それでも、多くの場合、一時帰休下でも、休業手当として賃金の60%の支給がなされるべきことには注意が必要でしょう。

 

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