廃棄物処理法違反事件の量刑

さいとうゆたか弁護士

第1 廃棄物処理法違反の量刑

廃棄物処理法違反被告事件は、逮捕や懲役刑もありうる事件類型であり、初期段階からの適切な弁護が必要となります。

以下、廃棄物処理法違反の量刑(個人分)について大まかな傾向をご説明します。

 

第2 裁判例における量刑の傾向

 

1 大阪簡裁27年3月4日判決→罰金10万円

・自転車に乗せて運べる程度の「合成皮革製のソファー1点」、約8.34キログラムを廃棄

・別段「人体に有害な物」や「不潔な物」「悪臭を発する物」「引火性等のある危険な物」などではない

・検挙された後自費をもって今回投棄したソファーを既に正規の手続を踏み処分済み

 

2 東広島簡裁平成31年3月18日判決→罰金50万円

・自宅敷地内で約512キログラムの大量の木材等を焼却

・同種前科前歴なし

 

3 広島高裁令和1年7月25日判決→罰金30万円

・伐採木約600キログラム焼却。化学製品はなく、農山村地帯だったので具体的な煙害なし

・古い罰金前科しかなし

 

4 山口地裁平成31年4月3日判決→懲役6月・執行猶予2年、罰金30万円

・丸太等合計600キログラム超を焼却

・正式裁判は初めて

 

5 盛岡地裁令和1年5月8日判決→懲役10月、執行猶予3年

・約3か月にわたり,隣室のベランダに大量のごみを捨てた

・前科なし

 

6 旭川地裁平成30年3月1日判決→懲役2年・執行猶予3年、罰金100万円

・冷蔵庫約5.9トンを廃棄

・油性物質や基盤等の重金属が土中に流出して土壌汚染や水質汚染が起きる可能性あり

・廃棄物の処分について業者と契約して約82万円の費用を支払済みである

・被告人の前科は10年以上前の執行猶予付き懲役前科1犯(罰金併科)だけ

 

7 山口地裁萩支部平成29年11月20日判決→懲役2年・執行猶予2年、罰金50万円

・廃棄物であるコンクリート塊合計約71tを海域に放置して捨てた

・自ら費用を費やして本件コンクリート塊を適正に処分したこと

・相当古い罪種の異なる略式命令による罰金刑の前科以外に前科はないこと

 

8 仙台地裁平成30年9月7日判決→懲役2年・執行猶予3年

・アスファルト破片等約350トンを窪地の中に投棄

・組織的・現場責任者

・原状回復について見通しがある

 

9 大津地裁平成26年12月2日判決→懲役1年6月・執行猶予3年、罰金100万円

・放射性物質により汚染された木くず約310立方メートルを放置

・腐って悪臭を放ったり,通行の障害となったり,付近の河川やびわ湖に流出してその環境に被害を与える危険性があった

・2000万円以上の費用をかけて本件の廃棄物も別の場所に移動させた

 

 

廃棄物の量が決定的要因であり、1トン未満では罰金のみも多く、それを超えると執行猶予付きながら懲役刑が多いことがうかがわれます。

ただし、

・環境への悪影響

・犯行後、廃棄物の適正処分を行なったかどうか

も重要な要素となります。

上記は格別の前科等がないケースですが、前科によっては実刑もあります。

ですから、廃棄物処理法違反で検挙された場合、早期に弁護人を選任し、良い情状を作り、立証していくことが重要です。

 

第3 新潟で廃棄物処理法違反の刑事弁護のご相談は弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)へ

まずはお電話(025-211-4854)か、メールでご連絡ください。

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