執筆 新潟県弁護士会 弁護士齋藤裕(2019年度新潟県弁護士会会長、2023年度日弁連副会長)
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1 交通事故における労働能力喪失期間
交通事故で後遺障害が残った場合、労働能力が喪失したとして、その分の損害として逸失利益の賠償が認められることがあります。
この労働能力が喪失する期間について、14級のむちうちの場合、5年に限定されることが多いです。
そのため、保険会社において、むちうち以外の14級事案についてまで労働能力喪失期間を5年に限定することが多くあります。
しかし、裁判例においては14級だからといって必ずしも労働能力喪失期間が5年に限定されるわけではありません。
以下、どのような場合に、14級の後遺障害の場合に、5年を超える労働能力喪失期間が認められるのか、みていきます。
2 14級で5年を超える労働能力喪失期間が認められる場合
東京地裁平成15年1月22日判決は、以下のとおり、足に14級の神経症状がある家事労働者について、労働能力喪失期間を11年と認定しました。
判決は以下のとおり述べます。
「本件事故により右足及び左足に神経症状を残したものであり,立ち仕事の多い家事労働に支障を来すこと,神経症状は骨折に基づくものであること,顔面醜状障害は,家事労働能力を喪失させるものではないことなどを総合すると,原告は,症状固定時からその労働能力を5%喪失し,喪失期間は平均余命の約2分の1である11年とみるのが相当である。」
ここでポイントとなるのは、
ⅰ 後遺障害が骨折により生じていること
ⅱ 後遺障害が、被害者が従事する労働との関係で特に支障をもたらすものであること
でしょう。
重大な傷害(骨折な脳内出血など)の後に生じた14級の後遺障害であったり、当該後遺障害が被害者の従事する労務に特に大きな支障をもたらすようなものである場合、労働能力喪失期間が長くなりがちだと言えるでしょう。
その他、後遺障害自体不可逆的と言える性質があること、症状固定後長期間経過したが症状が緩和しないこと、職業柄後遺障害が生じた部位への負担がかかりがちであること、高齢で職業の転換が困難であること、症状が複数であったり特に重いものであることなどの事情も5年を超える労働能力喪失期間を認定する際の材料となるでしょう。
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