
1 大阪・高槻市で小5男児が持久走の後で死亡との報道
大阪・高槻市で小5男児が持久走の後で死亡との報道でショックを受けた方は多いと思います。
報道によると、体育の授業中、マスクをしていたとのことです。
そのことと死亡との因果関係ははっきりしませんが、仮にマスク着用が原因だとしたら学校側の義務違反もありうるところです。
以下、学校の体育等での持久走・ランニングなどと学校の義務違反との関係について説明をします。
2 持久走と熱中症についての裁判例
学校の体育等での持久走・ランニングをめぐる事故の多くは熱中症に関係するものです。
学校での体育等におけるものではありませんし、学校側の責任を問題としたものでもありませんが、大阪地裁平成27年4月17日判決は、タレント養成学校所属生徒が、駅伝リハーサル中に熱中症となった事件について、放送会社側の賠償責任を認めています。
同判決は、
ⅰ 会場の気温,相対湿度及びWBGT等を計測していなかったことは,熱中症の危険の指標となる環境条件の測定を怠ったことになる
ⅱ 遅くとも1回目の試走終了後,被害者に熱中症が疑われる症状が発現したことを認識したか,又は認識し得たのに、2回目の試走を中止しなかった
として、2回目の試走中に発生した熱中症について、放送会社側に賠償責任を認めました。
このように、持久走やランニングをさせる者には、熱中症になりやすい環境かどうかのチェック、熱中症を疑わせる状況となった場合の中止措置等が義務付けられることになります。
3 マスク着用と熱中症・呼吸不全
2020年7月に発表された、日本臨床スポーツ医学会・日本臨床運動療法学会共同声明では、「屋外運動時のマスクや口鼻を覆うものの着用は、基本的には推奨いたしません(熱中症や呼吸不全の危険が高まる可能性があり、海外では死亡例もあります)。」としているところです。
このように、マスク着用のまま激しい運動をした場合、熱中症だけではなく、呼吸不全となる危険性があることがつとに指摘されていました。
ですから、学校側としては、マスク着用のまま激しい運動をさせないようにする注意義務、仮に激しい運動をさせるとしたら熱中症や呼吸不全について注視すべき義務があったと考えられます。
よって、児童がマスク着用のまま激しい運動をしていたのであれば、マスクを外すよう求める、熱中症や呼吸不全の徴候がないか注視するなどの対応が求められたと考えられます。
このような義務に違反して児童に重大な事故が発生した場合、学校側には賠償義務等の法的責任が生ずる場合もあると言えます。
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