癒着胎盤に伴う大量出血はどのような場合に医療過誤となるのか?

さいとうゆたか弁護士

執筆 新潟県弁護士会 弁護士齋藤裕(2019年度新潟県弁護士会会長、2023年度日弁連副会長)

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1 癒着胎盤について

「正常時のように胎盤絨毛が脱落膜細胞内にとどまらず,筋層まで侵入する」ことを癒着胎盤と言います(MSDマニュアルプロフェッショナル編)。参照:癒着胎盤の説明

癒着胎盤は出血性ショックやDICの原因となり、妊産婦死亡原因となる可能性があります。

帝王切開歴がある、前置胎盤、35歳以上等がリスク要因とされます。

これまでも癒着胎盤について医師が適切な対応を取らなかったことで死亡等の結果が生じ、裁判になったこともあります。

以下、裁判例をご紹介します。

2 癒着胎盤についての裁判例

神戸地裁尼崎支部平成29年5月23日判決は、高齢妊娠という癒着胎盤のリスク因子があった妊婦について癒着胎盤が生じたものの、医師が適切な処置を講じず、その結果大量出血を来し、後遺障害が残ったというケースについて、医療機関側の賠償責任を認めています。

同判決は、「産科医師としては,胎児娩出後30分経過しても胎盤が娩出されない場合には,付着胎盤又は癒着胎盤を疑い,輸血の準備やバイタルサインのチェック,血液型の検査など全身状態の把握と検査,血管確保を行った上で,胎盤娩出促進法を行うべきものといえる。」として医師の義務を確認します。ここで胎盤娩出促進法とは、「導尿を行い,産婦に軽く腹圧を加えさせ,子宮底の輪状マッサージを行い,子宮収縮不良の場合は子宮収縮剤を静注又は筋注する」ことを言います。

その上で、当該事案について、「胎児娩出後30分の経過を待つことなく,わずか数分後には胎盤剥離に向けた行為(マッサージ)を開始し,その後も,輸血の準備等の必要な準備をすることなく,必要とされる超音波断層法も行わないなど,癒着胎盤の可能性を念頭においた必要な手順を経て胎盤の剥離を試みるべき注意義務に反し,これら手続を経ないまま用手剥離を行った過失が存するものというべきである。」として義務違反を認めています。

また、東京高裁平成19年3月27日判決は、用手剥離後の大量出血があり、妊産婦が死亡したケースについて、「出血性のショック症状を呈していたものと認められ,被控訴人病院の医師にはこれを看過し,その時点以降急速輸液等適切な輸液を行うことを怠った過失」、「全身状態の管理・観察を怠った」過失などを認め、死亡についての賠償責任を認めています。

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