最高裁が夫婦別姓認めず 別姓を認めない裁判官に国民審査で審判を

さいとうゆたか弁護士

1 夫婦別姓についての最高裁決定

2021年6月23日、最高裁は、夫婦別姓を認めない決定を出しました。

多数意見は、従来の考え方を踏襲するだけの、新味のない決定です。

同姓を強いられることで大きな不利益を被る人がいます。他方、すべての夫婦について別姓の強制が求められるわけではないため、別姓により不利益は僅少です。

それにもかかわらず夫婦別姓を認めなかった最高裁には失望を禁じ得ません。

最高裁は、夫婦別姓については国会で解決すべきとしています。しかし、これが容易でないことはご存じのとおりです。

そうすると、時間はかかっても最高裁にも変わってもらい、権利を守る最後の砦になってもらう必要があります。

そのために必要なのが国民審査です。

2 最高裁裁判官の国民審査

憲法は、最高裁裁判官の国民審査について以下のとおり定めます。
第七十九条
② 最高裁判所の裁判官の任命は、その任命後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際国民の審査に付し、その後十年を経過した後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際更に審査に付し、その後も同様とする。
③ 前項の場合において、投票者の多数が裁判官の罷免を可とするときは、その裁判官は、罷免される。
衆議院議員選挙は今年必ず行われます。
そして、その際には、任命後初めて総選挙を迎える最高裁裁判官である長嶺安政、岡村和美、林道晴、宇賀克也、草野耕一、三浦守、深山卓也、宮崎裕子の各氏が国民審査の対象となる可能性があります(ただし、それまでに退官している可能性のある裁判官もいます)。
そのうち、夫婦同姓強制に反対したのは、三浦守裁判官、宇賀克也裁判官、草野耕一裁判官、宮崎裕子裁判官です。
岡村和美裁判官、林道晴裁判官、深山卓也裁判官は夫婦同姓強制を違憲としませんでした。
ですから、夫婦別姓を求める人は、国民審査のときに、岡村和美裁判官、林道晴裁判官、深山卓也裁判官に×をつけましょう。
×をつけないと信任したのと一緒ですから、必ず×をつけるようにしましょう。
ちなみに、他の著名事件でいうと、袴田事件の再審開始が問題となった最高裁令和2年12月22日決定で最高裁は事件の差し戻しを決めていますが、宇賀克也裁判官、林道晴裁判官は、提出証拠だけで合理的疑いが生じており、再審開始を決定すべきとしているところです。袴田さんの負担を配慮し、かつ、刑事裁判の原則に忠実な立場にあると考えます。

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