相続放棄と交通事故による損害賠償請求権等

さいとうゆたか弁護士

1 相続放棄と交通事故

交通事故で親族が交通事故で亡くなった場合、相続人が損害賠償請求権を相続します。
しかし、被相続人が事業に失敗して多額の負債を負っているような場合、相続放棄を選択することがありえます。
被相続人が亡くなり、自分が相続人となったことを知った時から3か月以内に相続人は相続放棄をし、債務を免れることができます。
しかし、同時に、財産も放棄することになります。
その場合、損害賠償請求権等、被相続人が交通事故により取得していた権利はどうなるのでしょうか?
以下、検討します。

 

2 損害賠償請求権と相続放棄

交通事故で死亡した場合の損害賠償請求権は、そのほとんど(慰謝料の大部分、逸失利益)が一旦被相続人に取得され、その後相続人に相続されます。

ですから相続放棄により損害賠償請求権の大部分は得られなくなります。

しかし、遺族固有の慰謝料部分は別です。

交通死亡事故の場合、配偶者、親、子等の親族に、100~数百万円の固有の慰謝料が認められることがあります。

これは相続財産ではありません。

ですから相続放棄後も請求できることになります。

3 人身傷害保険金と相続放棄

交通事故により、被害者が加入していた保険会社から人身傷害保険金が支払われることがあります。

人身傷害保険金は、相続人が相続によりう権利を取得するものであり、相続放棄した場合、この人身傷害保険金は払ってもらえないというのが一般的な理解です。

相続放棄をした相続人が人身傷害保険金の支払請求をした事案についての福岡高裁令和2年5月28日判決は、「本件契約の人身補償条項は、被保険者に生じた損害をてん補することを目的とするもんもであり、その保険金額は、本件契約上、上限が定められるのみであって一定額とされておらず、生じた損害の額に即して定まるものとされているから、前記契約の目的を達するため、同条項に係る保険金請求権は、てん補すべき損害が生じた主体に帰属する」等として、被害者本人が人身傷害保険金を取得し、それが相続人に相続されるため、相続放棄した遺族は人身傷害保険金を請求できないとしています。

4 交通事故加害者遺族の相続放棄

なお、交通事故加害者の遺族が相続放棄をすると加害者遺族は賠償責任を免れることになります。

4 新潟で交通事故のお悩みは弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)にご相談ください

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