執筆 弁護士齋藤裕(2019年度新潟県弁護士会会長、2023年度日弁連副会長)
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1 腰椎分離症とは?
公益社団法人日本整形外科学会のサイトでは、腰椎分離症について、「ジャンプや腰の回旋を行うことで腰椎の後方部分に亀裂が入って起こります。「ケガ」のように1回で起こるわけではなく、スポーツの練習などで繰り返して腰椎をそらしたり回したりすることで起こります。」として説明されています。
参照:腰椎分離症について
交通事故により腰椎分離症が悪化することもあります。
2 腰椎分離症と交通事故との因果関係
金沢地裁令和2年8月31日判決は、
・交通事故前から第5腰椎分離症が存在したものの、腰痛等の症状はなかった
・交通事故直後から1年4ケ月もの期間にわたって腰部、臀部、大腿外側上部の痛みが継続して存在している
・痛みの部位や、腰を反らしたり、捻ったりすると痛みが増強するという特徴は腰椎分離症の特徴と合致する
・病院において症状が腰椎の不安定性に伴うものと診断していたこと
・手術により症状が改善したものの、一定の腰痛が残っている
などの経過を踏まえ、交通事故により既存の第5腰椎分離症が悪化したものとしました。
このように、既存の腰椎分離症があった場合でも、無症状であったのが事故後に継続した症状が出現し、腰椎分離症に特徴的な症状が出現した場合、交通事故と腰椎分離症との因果関係が認められうることになります。
3 腰椎分離症と素因減額
腰椎分離症については、既存のものが悪化するパターンが多く、素因減額が問題となることが珍しくありません。
金沢地裁令和2年8月31日判決は、既存の腰椎分離症の存在を前提としつつ、
・腰椎分離症が一般に広く存在する疾病であること
・一生無症状であることも多いこと
・当該訴訟の原告については事故前には症状がなかったこと
・骨折や出血等の外傷性の所見がないこと
・事故のため腰椎すべり症が発症したわけでもなく、すべりの程度が増したわけでもないため、既存の障害の寄与が大きいこと
を踏まえ、30%の素因減額を認め、賠償額を減額しました。
腰椎分離症のケースでは、腰椎分離症の一般的な症状だけではなく、事故前の症状の有無などを的確に立証し、素因減額の幅を小さくする活動が重要です。
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