駐車場事故の過失割合はどうなるか? 新潟県の交通事故は弁護士齋藤裕に御相談ください

執筆 新潟県弁護士会 弁護士齋藤裕(2019年度新潟県弁護士会会長、2023年度日弁連副会長)

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1 進路進行車と駐車区画退出車の事故の過失割合

駐車場において、通路を進行している自動車と、駐車区画を退出しようとしている自動車が起こした事故について、別冊判例タイムズ38「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準全訂5版」335図は、通路進行車と駐車区画退出車の基本的過失割合を30:70としています。

東京地裁平成29年3月16日判決は、このような事故について、20:80の過失割合を認めています。

この事故の場合、駐車区画退出車において、指摘されるまで事故に気付きませんでした。

このような事情があり、駐車区画後退車に著しい過失があるものとして10%修正されたものと思われます。

東京地裁令和4年5月26日判決は、駐車区画Aから退出しようとバックで駐車区画から通路に出ようとしていた自動車(Y車)と、駐車区画Bに後退で駐車させようとして通路を走行していた自動車(X車)の事故の過失割合について、85:15との判断を示しています。

同判決は、Y車は、「駐車区画から通路へ退出するに当たり、通路の安全を確認し、通路上の進行車両又は駐車行為を準備若しくは開始した車両の動きを妨げるおそれがある場合には、通路への退出を控える義務を負うにもかかわらず、後方不注視によりこの義務を怠った結果、本件事故を発生させた過失が認められる。そして、駐車区画の駐車車両は、通路上の車両よりも容易に安全を確認して衝突を回避できる」として、Y車側の過失が重大だとしました。

しかし、X車についても安全確認を怠っていること、駐車場においては駐車区画への進入動作が優先されるべきこと、X車がクラクションを鳴らす又は適切に運転操作をすることにより本件事故を回避できた可能性があることをを踏まえ、過失割合を85:15としました。

2 通路進行車と駐車場区画進入車の事故の過失割合

駐車場において、通路を進行している自動車と、駐車区画に進入しようとしている自動車が起こした事故について、別冊判例タイムズ38「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準全訂5版」336図は、通路進行車と駐車区画進入車の基本的過失割合を80:20としています。

しかし、注意すべきは、この基本的過失割合は、公道に近いところでは適用されない可能性があります。
東京高裁令和3年2月10日判決は、公道に近い駐車区画に進入する行為は後続車がある場合には公道の通行の安全に大きな影響を及ぼすとして、上記判例タイムズの表は妥当しないとしています。そして、当該事案では、公道から駐車場に入って停まっていた通路進行車と駐車区画進入車の過失割合を3:7としています。
このように、336図は、あくまでも駐車場の中でも公道の通行に影響のないエリアを典型的に想定しているということに留意する必要があります。

3 駐車区画退出車同士、駐車区画進入車同士、駐車区画進入・退出車同士の事故の過失割合

東京地裁令和2年12月1日判決は、駐車区画退出車同士の事故について、先行して退出し、通路で停止していたA車と、後で後退を始めたB車の過失割合を、2:8としています。

この判決の事案では、A車が停止していたという事情がありましたが、双方同時退出の場合には5:5が基本となると思われます。

駐車区画進入車同士についても同様と思われます。

名古屋高裁令和2年7月31日判決は、駐車区画退出車と進入車間の事故の過失割合について判断を示しています。

同判決は、退出車について、後方の安全確認を怠って後退を開始し,原告車の進行を妨害した過失があるものとしました。
他方、進入車は,本件駐車場に進入する際に,運転手が退出車に乗り込むのを見ていたのであるから,退出車が間もなく後退を始める可能性があることを十分に予測し得たというべきであり,過失があるというべきであるとしました。
結果として、退出車:進入車=8:2の過失割合を認めました。

やはり退出車の方が重い注意義務を負っていると言えます。

 

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