執筆 新潟県弁護士会 弁護士齋藤裕(2019年度新潟県弁護士会会長、2023年度日弁連副会長)
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1 判例タイムズによる、信号機のない交差点(同幅員同士)の事故の過失割合
裁判や交渉において参照される別冊判例タイムズ38「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準 全訂5版」は、直進自動車同士が信号機のない交差点(同幅員同士)で衝突した事故の過失割合について以下のとおりの基準を示しています。
ⅰ 左方車・右方車双方が同程度の速度 左方車:右方車=40:60
ⅱ 左方車が減速せず、右方車は減速 左方車:右方車=60:40
ⅲ 左方車減速、右方車減速せず 左方車:右方車=20:80
※上記いずれの場合も、著しい過失で10%、重過失で20%修正
※上記いずれの場合でも、見通しがきく交差点では左方車の過失10%減、夜間では5%減
2 信号機のない交差点(同幅員同士)の事故の裁判例の状況
実際の裁判例においては以下のとおり判断がなされてきています。
横浜地裁平成25年11月14日判決は、
・右方車減速、左方車減速せず
・左方車は、車両が通るような道路との交差点であることにさえ気付いていなかったというのであるから、前方不注視等の過失が著しい
という事案について、右方車:左方車=30:70の過失割合を認定しています。
1のⅱ類型であり、本来は40:60なのでしょうが、前方不注視の点で著しい過失が認定され、10%修正されたと言えます。
東京地裁平成25年1月23日判決は、
・両車両とも同速度
・右方車が、交差点進入直後に,本件交差点を半分程度通過した状態の左方車の,右後部に衝突したのであり,左方車が本件交差点に先入していたこと
を踏まえ、右方車:左方車=60:40の過失割合を認定しています。
これはⅰの類型ですが、ⅰの基本的過失割合を修正していません。
左方車が先入していたことが全く考慮されていないことになりますが、このように左方車にとって事故の回避可能性が著しく低下する事情を考慮しないということでよいのか、多大な疑問が残ります。
なお、東京高裁平成6年2月22日判決は、同幅員の交差点で一方にのみ、交通安全協会作成の一時停止看板があったことを過失割合を定める事情としています。これはさほど大きな事情とは言えないでしょうが、一定程度考慮される可能性のある事情と言えるでしょう。
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