時間外労働80時間未満で過労死(くも膜下出血)を認めた裁判例

さいとうゆたか弁護士

1 過労死基準と時間外労働時間

過労死の基準である厚生労働省労働基準局長による「血管病変等を著しく増悪させる業務による脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準」は、くも膜下出血等が労災と認定される要件について、「発症前1か月間におおむね100時間又は発症前2か月間ないし6か月間にわたって、1か月当たりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合は、業務と発症との関連性が強いと評価できることを踏まえて判断すること」としています。

例えば、発症前2~6ケ月間において1か月あたりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合というのが記載されていますが、これを少しでも下回ると過労死認定されないということではなく、裁判例においては下回る場合でも過労死認定がされてきています。

以下、裁判例をご紹介します。

2 高松高裁令和2年4月9日判決

高松高裁令和2年4月9日判決は、発症前1か月(10月23日から11月21日まで)が29時間13分,発症前2か月(9月23日から10月22日まで)が7時間36分,発症前3か月(8月24日から9月22日まで)が35時間57分,発症前4か月(7月25日から8月23日まで)が126時間33分,発症前5か月(6月25日から7月24日まで)が107時間8分,発症前6か月(5月26日から6月24日まで)が86時間30分という事案、つまり、「血管病変等を著しく増悪させる業務による脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準」の80時間という基準を下回る労働をしていた労働者がくも膜下出血で死亡したケースについて、過労死認定をしています。

同判決は、発症4~6か月の時間外労働時間が80時間を超えたことのみならず、「発症前6か月の約2か月前である平成26年4月に平社員から情報部門のリーダーになってより責任の重い立場になるという人事異動があった上,同年8月には本件大型案件を含む2件の入札案件で敗退し,平成26年度下期の売上げノルマ達成が極めて困難になるなど,過大なノルマがある業務に従事していたものであり,精神的にも強い緊張状態にあったものと推認できる。したがって,この時期の被災労働者は,時間外労働時間が長いことに加えて,精神的緊張を伴う過大なノルマの達成をチームリーダーという責任ある立場で遂行していたものであり,その精神的負荷は極めて高く,疲労の蓄積が極めて著しかったものと推認できる。」等として、過労死の認定をしています。

このように、80時間との基準を満たさない場合であっても、人事異動により業務負荷が高くなった、ノルマ達成が困難等の事情がある場合には過労死認定されることがありますので、労働時間以外の業務上の負荷を丁寧に拾うことが重要となります。

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