交通事故とCRPS

交通事故

1 CRPSとは?

複合性局所疼痛症候群(CRPS)は,軟部組織もしくは骨損傷後(I型)または神経損傷後(II型)に発生して,当初の組織損傷から予測されるより重度で長期間持続する,慢性の神経障害性疼痛である。その他の症状として,自律神経性の変化(例,発汗,血管運動異常),運動機能の変化(例,筋力低下,ジストニア),萎縮性の変化(例,皮膚または骨萎縮,脱毛,関節拘縮)などがみられるものです(MSDマニュアルプロフェッショナル版)。

症状としては、

・疼痛(焼けつくような痛みや疼くような痛み)、アロディニアや痛覚過敏

・皮膚の血管運動性変化(例,発赤,斑状,青白い変色;皮膚温の上昇または低下)や発汗運動の異常(皮膚の乾燥または発汗過多)

・かなり強い限局性の浮腫

・萎縮性の異常(例,光沢を伴う皮膚萎縮,爪の亀裂や過度の伸長,骨萎縮,脱毛)や運動機能の異常(筋力低下,振戦,攣縮,手指の屈曲固定または内反尖足位を伴うジストニア)

・関節可動域制限、関節拘縮

があるとされています(MSDマニュアルプロフェッショナル版)

交通事故によりCRPSになったという訴えはよく見られますが、裁判において認定されることはかなり稀です。

2 CRPSを認定した裁判例

神戸地裁平成19年11月15日判決は、

・原告には,レントゲン画像上,左踵骨及び足関節部の透過性の亢進が認められること,

・同部位の血流低下による骨萎縮が疑われること,

・皮膚温の左右差が他覚的に認められること,

・可動域の制限へ疼痛及び下腿浮腫といった症状

などを踏まえ、原告がCRPSに罹患し、12級の後遺障害に該当すると判断しました。

3 CRPSのり患を認めなかったものの12級の後遺障害を認めた裁判例

神戸地裁令和3年6月25日判決は、被害者に、関節拘縮、皮膚の色調の変化はあるものの、骨萎縮は明白ではないとして、CRPSのり患を認めませんでした。

ただし、関節拘縮、皮膚の変化、軽度の骨萎縮等があり、かつ、医師においてCRPSに当たるとの診断をしていることから、他覚所見を伴う「頑固な神経症状を残すもの」として、12級の後遺障害を認めました。

このようにCRPS自体の認定は簡単ではありませんが、CRPSと思しき症状がある場合に12級ないし14級の後遺障害が認められることはありますので、諦めないことが大事です。

4 新潟で交通事故のご相談は弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)へ

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