白内障手術の失敗はどのような場合に医療過誤とされるのか?

執筆 新潟県弁護士会 弁護士齋藤裕(2019年度新潟県弁護士会会長、2023年度日弁連副会長)

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白内障手術は、場合によっては失明という重大な結果を招くことがあり、医療過誤として賠償責任が認められることもあります。

以下、医師側の責任を認めた事例をご紹介します。

1 白内障手術について医師の説明義務違反を認めた事例

東京地裁令和3年4月30日判決は、白内障手術後に失明となった事例について、医師側において、合併症発症の可能性が10%程度であること、手術を選択した場合の視力良好事例が41%であること、白内障単独では失明しないこと等を説明すべきであったのに、説明しなかったとして、説明義務違反を認めました。

このように、手術によるリスクのみではなく、手術をしない場合にどうなるかについての説明も必要と考えられます。

なお、同判決は、カルテが手術記録と矛盾するなどしていることからカルテの改ざんがあったとし、カルテに説明した旨の記載があるものの信用できないとしています。

また、治療費、入通院慰謝料、8級相当の後遺障害がある前提での慰謝料等が損害として認められています。

白内障をめぐる説明義務違反を認めた裁判例としては、東京高裁平成26年9月18日判決もあります。

2 術後の網膜剥離に対する対処を適切に行わなかったことについて注意義務違反を認めた裁判例

東京地裁平成15年5月7日判決は、白内障手術後の網膜剥離について、適時適切な対応がなされなかったとして、医師側の注意義務違反を認めています。

具体的には、以下のとおりの判断を示しています。

被告病院の医師としては,原告の症状が急速に悪化して網膜剥離が黄斑部に達したことが判明した9月12日の時点では,14日に予定していた手術を繰り上げて,直ちに緊急手術を実施すべき義務があったといわなければならない。良い視力の回復が得られるようにするためには,本来なら,剥離が黄斑部に達する前に手術をすべきものであった。ところが,C医師やA医師は,原告の網膜剥離が黄斑部に達したことを認識しながら,直ちに緊急手術を実施せず,9月14日まで網膜剥離の進行を放置した。したがって,この点において,被告病院の医師には過失が認められる。」参照:白内障の医療過誤についての裁判例

結果として、判決は、慰謝料や逸失利益等計2734万2179円の賠償責任が認められています。

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