交通事故と症状固定

交通事故

1 症状固定とは?

症状固定とは、それ以上治療をしても症状の改善が見込まれない状態を言います。

交通事故や労災において、

ⅰ 原則として症状固定時までしか治療費が支払われない

ⅱ 症状固定時点の症状をもとに後遺障害の判断がされる

ⅲ 症状固定時点が時効の起算点とされる

等、症状固定は重要な意味を持ちます。

2 症状固定の具体的判断

この症状固定については裁判で争われる事例が多くあります。

例えば、大阪地裁令和4年4月13日判決は、医師において平成27年7月(治療から約7年後)に、以降は治療効果がないと判断していたという事案において、被害者は以降も別の医療機関で別の治療法での治療を受けていたところ、平成27年7月以降の治療について「(被害者の症状について)適応があってその必要性及び相当性を認めることができ、実際に十分な治療効果が得られたのであれば、同年7月以降も治療効果が見込まれたものとして、その時点では症状固定に至っていなかったと評価できる余地がある。」としました。

その上で、

・当該治療法について、ある病院において適応の有無が検討された結果、治療効果が期待しにくく、むしろ、副作用を発症する危険性があることから、実施が見送られたものであること

・被害者の自覚症状が著しいものではなかったこと

等を踏まえ、平成27年7月を症状固定日としています。

症状固定日については、

・治療を担当した医師の意見

・治療内容(単なる痛みを緩和するものに過ぎないかどうか)

・発症からの期間(発症から長期間経過していれば症状固定と認められやすい)

・治療により症状が実際に改善したか

・当該治療方法が臨床において受容されていたかどうか

・被害者の苦痛等が激しく、治療の必要性が高かったか

・事故態様

等を踏まえ判断されることになります。

なお、労災保険における症状固定も、損害賠償における損害賠償と、概念的には同じものですが、労災保険の方が症状固定を先延ばしにしてくれる(主治医が症状固定としない限り症状固定とはしない)傾向があります。

ですから、労災交通事故のような場合、労災保険の申請は必ずすべきです。

3 新潟で交通事故のご相談は弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)へ

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