医療過誤があったとき、どのような場合に損害賠償請求できるか?

さいとうゆたか弁護士

執筆 新潟県弁護士会 弁護士齋藤裕(2019年度新潟県弁護士会会長、2023年度日弁連副会長)

新潟で医療過誤のお悩みは弁護士齋藤裕にご相談ください。

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新潟県の弁護士齋藤裕に医療過誤はお任せ下さい。

医療過誤があった場合、損害賠償請求をすることがあります。

しかし、単に予期しない悪い結果が生じたというだけでは損害賠償請求はできません。

以下、医療過誤と損害賠償についてご説明します。

1 医療過誤で損害賠償請求ができる場合

医療過誤があった場合、損害賠償請求ができるのは、基本的には、診療当時の臨床医学の実践における医療水準に反する医療がなされ、悪い結果が生じたような場合です。参照:医療過誤における判断基準を示した判例

ですから、単により良い治療法があったはず、というだけでは損害賠償の問題にはなりません。

医療に関するガイドラインや定番の教科書等で記載されているとおりの治療をせず、悪い結果が発生したような場合に損害賠償の対象となります。

医療で悪い結果が生じたときに、それが損害賠償に値するものかどうかは、まずは弁護士齋藤裕にご相談ください。

2 医療過誤と死亡等の結果との因果関係

医療過誤の結果、死亡等重大な結果が発生しても、その死亡等の結果について常に賠償責任が認められるものではありません。

きちんとした医療をしていれば、重大な結果が発生しなかったという高度の蓋然性が証明されたときに始めて重大な結果について損害賠償の対象となります。参照:医療過誤の因果関係について判断した判例

この因果関係については、症状の経過や医学文献等から判断していくことになります。

3 医療過誤による相当程度の可能性の侵害と損害賠償

医療過誤における因果関係は、実際にはなされなかった適切な治療があった場合に救命等できたかというものであることが多く、その立証は困難です。

このような因果関係が完全に立証されない場合でも、生存についての相当程度の可能性・医療に対する期待権が侵害されたとして損害賠償請求が認められる場合があります。

最高裁平成12年9月22日判決は、適切な医療がなされなかったことと死亡との因果関係が立証されない場合でも、「医療水準にかなった医療が行われていたならば患者がその死亡の時点においてなお生存していた相当程度の可能性の存在が証明されるときは、医師は、患者に対し、不法行為による損害を賠償する責任を負う」としているところです。参照:生存の相当程度の可能性があるときに賠償を認めた判例

生存についての相当程度の可能性の侵害の場合の慰謝料は数百万円ということが多く、東京地裁令和4年11月17日判決は600万円、大阪地裁令和4年5月20日判決は500万円、東京高裁令和3年11月18日判決は400万円の慰謝料を認めています。

4 医療における説明義務違反

診療行為そのものではなく、それに関する説明義務違反があったとして損害賠償が認められることもあります。

説明義務が果たされていた場合には、当該治療を受けなかったと考えられるような場合には、当該治療の結果生じた重大な結果についての損害賠償が認められることもありえます。

まだ効果やデメリットが確立していない新規な治療法、不要不急な治療法(特に美容整形外科、動脈瘤塞栓術のような予防的医療)については高度な説明義務が求められます。

仙台地裁平成29年9月28日判決は、美容整形手術について、必要性や緊急性に乏しいこと等から、「医師としては,患者に対し,当該手術を受けるか否かの判断に必要な情報を十分に提供する必要があり,実施予定の手術の内容とともに,手術に付随する危険性,欠点等のマイナス面,他の選択可能な治療方法の内容等をできる限り具体的に説明すべき注意義務を負」うとしているところです。

大阪地裁平成20年2月21日判決は、診療の顛末についての説明義務も認めています。参照:診療の顛末についての説明義務を認めた判決

5 医療過誤と事実調査

現在、医療過誤の交渉や訴訟をする上で不可欠なカルテや検査記録等については、医療機関に開示請求し、あるいは任意に開示を受けるのが一般的です。

また、患者等が医師等から説明を受け、その内容を録音等するのも重要です。

カルテの改ざん等が見込まれる場合については、証拠保全手続きを行い、改ざんを防止することも必要となります。

6 医療過誤の損害賠償請求の方法

医療過誤においても交渉で解決できる事案は結構あります。

しかし、交渉で解決できない場合には訴訟をするほかありません。

医療過誤の訴訟では、カルテなどの基本記録をもとに、双方が医学文献等の証拠を出し合い、また、場合によっては鑑定を行ったりして、和解や判決を目指すことになります。

7 医療過誤のお悩みは弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)にお問合せください

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新潟市民病院におけるレジオネラ菌院内感染事件、産科医療過誤事件等で成果をあげてきました。

産科医療補償制度

低酸素性虚血性脳症と医療過誤

も御参照ください。

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